イラクはクウエイトが計画している、核施設建設に猛烈な反発を、し始めている。無理もない、イラクの主要港である、ウンムカスルに近い場所に、建設されることに、なっているからだ。
イラク側のクレームは、クウエイトの核施設建設で、イラクが政治的にも経済的にも、窮地に追い込まれるというものだ。もちろん、環境破壊についても、言及されている。
イラクンの国会議員らは、クウエイトの核施設を建設することは、アメリカによるイラクの弱体化陰謀であり、アメリカが今後も、イラクに駐留する口実作りを、しているのだと非難している。
イラク国境から4キロしか離れていない、クウエイトの地域に核施設が建設されるということは、もし、その核施設が事故を起こした場合、イラクは直接的な被害を受ける、危険性があろう。
そうなれば、イラクとの海上輸送は、ほとんど停止状態になることが予想される。クウエイトは国家があたかも、イラクを海上封鎖する位置にあるからだ。
イラク側の、このクウエイトの核施設建設に対する反対行動は、今後は核施設そのものが持つ危険性に、集中されていくのではないか。
同じような問題が、トルコとアルメニアとの間にも、起こっている。アルメニアはトルコ国境に近い地域に、核施設を持っているが、いずれも老朽化しているようだ。
そのことは、核施設で事故が発生する可能性が、非常に高まっているということであろう。述べるまでも無く、トルコ政府はアルメニアに対して、この核施設を、事故が起こる前に、廃炉にするよう働きかけているが、埒があかない状態だ。
それは、アルメニアには化石燃料(石油石炭ガスなど)が無いため、核施設による発電が、唯一の道だからだ。
今世界中で原子力発電所が、建設される方向にあるが、これには二つの危険性があろう。第一は老朽化した施設の修理保全、あるいは廃炉の問題だ。次いで新施設を建設した場合でも、技術的に高度な管理が、要求されることから、建設する国に十分な数の、専門家がいるかどうかということだ。
湾岸諸国ではクウエイト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などが、核エネルギーの時代に向かって、動き出している。それに見合う技術者専門家の養成を、これらの国々はどう、進めていくつもりなのだろうか。
場合によっては、核施設の建設自体が、隣国との紛争の種にもなりかねない、危険性をはらんでいるのだ。それはイスラエルやアメリカと、イランとの緊張関係、かつて起こったリビアの核開発の、例から分かろう。