イスラエルもレバノンも、これまでは地下資源には恵まれない国、と思われてきたのだが、ここ数年前から、イスラエルとレバノン沖の海底に、巨大なガス田があることが発見された。
以来、このガス田の開発が、イスラエル側デレク・エナジー社と、アメリカのノーブル・エナジー社によって始まり、レバノンは対応に追われている。ガス資源の所有権は、当然、領海線をどう認識するかにかかっている。
したがって、レバノン政府は国連にこの問題を、持ち込んでいたが、イスラエルも最近になって、国連を通じた問題の解決が必要だ、と考え始めた。ただし、イスラエルの側は単に領海だけではなく、陸上の国境線についても、この際、明確にしたいと考えている。
この問題で、アメリカの外交部が仲介役を、果たしており、その代表は元中東特使であった、ジョージ・ミッチェル氏の部下の、フレデリック・ホフ氏だ。彼はシリアとレバノンを、担当してきている人物だ。
もし、この交渉が失敗に終わった場合、レバノンのヘズブラ組織は、イスラエルとアメリカが進めている、海底ガスの基地に対する、攻撃を実施する危険性があることを、イスラエルもアメリカも懸念している。
フレデリック・ホフ氏は今年4月から、ベイルートとエルサレムを歴訪し、この問題の調整に、努力している。
イスラエルにとって問題なのは、レバノンとの領海だけではなく、キプロスとの領海の確定も、必要だということだ。海底ガス田はイスラエル・レバノン沖から、キプロスにまで広がる、広範囲なものだからだ。
レバノンの海底ガス交渉については、ノルウエーの会社が調査に動き始めており、具体的な領有権に関する問題が、近く浮上してこよう。同時に、キプロスも外国企業に権限を与え、海底ガス開発に向け、探査に動き始めよう。
イスラエル、レバノン、キプロスそれぞれが、経済的メリットから、早急な海底ガスの開発を、望んでいよう。そこで問われるのは、国連とアメリカの、公正な仲介、ということになりそうだ。