イスラエルのエルサレム・ポスト紙のブログが、パレスチナ内部の問題について報じているが、この話題はパレスチナ自治政府内部が、内部分裂を生むかもしれないという、危険なものであり、国連にパレスチナ国家の承認を提案するか否かの瀬戸際の時期の出来ごとだけに、イスラエル側にしてみれば、うれしい話題ということではないか。
パレスチナの中心組織ファタハ(、マハムード・アッバース議長がトップの組織)内部で、いま大問題が発生している。それは、元ガザの治安責任者ムハンマド・ダハラーン氏を、ファタハの中央委員メンバーから外すという動きだ。
組織としては、すでにその決定を下したようだが、メンバーの多くがこの決定に、反対している。若いファタハ・メンバーの中には、ムハンマド・ダハラーン氏の心酔者が、少なくないようだ。
30人のファタハ・メンバーがムハンマド・ダハラーン氏を外すことに、反対意見を明らかにしており、6人の中央委員も反対している。彼らに言わせると、ムハンマド・ダハラーン氏を中央委員から外せば、組織は実質的に解体するということだ。
またあるファタハのメンバーは、ファタハと連携する小グループ(マハムード・アッバース議長とつながる組織)の陰謀により、彼は外されることになったのだ、と主張している。
ムハンマド・ダハラーン氏が、マハムード・アッバース議長の批判を始めたのは、彼が独裁的な決定の仕方をすることに対する批判であり、汚職にまみれていることにもある。またマハムード・アッバース議長は他の者の意見を受け入れず、質問することも受け付けないということのようだ。
マハムード・アッバース議長は、ムハンマド・ダハラーン氏が彼と協力できないのであれば、辞任すべきだと語っている。そして、ムハンマド・ダハラーン氏は、マハムード・アッバース議長が彼の子息を後継者に、据えようと考えていることにも、反発してのことだ。
ムハンマド・ダハラーン氏がマハムード・アッバース議長の後継になるという下馬評は、大分以前から出ていただけに、マハムード・アッバース議長が自身の子息を後継者にするとなれば、ムハンマド・ダハラーン氏側から反発が生まれても、当然と言えよう。
他のアラブのリーダーの子息たちの例にもれず、マハムード・アッバース議長の子息も決して評判は良くない。金にまつわる汚れた噂が山ほどあるのだ。それだけに、パレスチナの若者の間では、ムハンマド・ダハラーン氏の方が評判がいいということであろう。