6月12日トルコでは統一選挙が実施された。選挙結果は与党AKP(開発公正党)が大躍進するというものであった。AKP はこの選挙で50パーセントを得票したのだ。前回2007年の選挙では46・6パーセントの得票率であったことを考えると、まさに大躍進ということであろう。
この得票率から計算すると、AKPは550議席のうちの、326議席を獲得することになる。そのことは、前回の選挙結果と比べ、議員数が15人減るということになる。
この数は単独で憲法改正を進めることが出来る、367議席(3分の2)よりも少ないし、単独で憲法改正を国民に問う、330議席にも達しない。
しかし、それがトルコ国民の意思の統一、連帯を強めていく上では、かえっていいのではないか。選挙後エルドアン首相は『野党との間で憲法改正は討議していかなければならない。国民は私たちに他党との話し合いによって、コンセンサスを生み、憲法改正するべきだという、メッセージを送っているのだ。われわれはこの結果を誇ることなく、謙虚に憲法改正を進めていく。』といった内容の演説を行っている。
私の判断では、選挙結果は、最も理想的なものではなかったかと思われる。選挙の1ヶ月ほど前に、イスタンブールを訪問した際、トルコの財界要人と得票率の話をしたとき、彼は47パーセントと予測したのに対し、私は48・5パーセントあるいは50パーセントに、限りなく近い得票数になるだろう、と語った。
しかし、AKP(開発公正党)はそれ以上、得票すべきではないとも語った。それは、AKP(開発公正党)が選挙後に謙虚で丁寧な、政治を進めていくことに繋がる、と考えたからだった。
今回の選挙結果は、トルコ国民と外国に対し、AKP(開発公正党)が明確に今後のトルコを、リードしていくことを、示したものと思われる。そして、それはトルコ国民にある種の安堵感と、自信を持たせたものと思われる。