6月6日、シリア北部のジスル・アッシュグール市で、ミリシア・グループとシリア治安部隊との間で、戦闘が勃発し、シリア治安部隊側に、120人の犠牲が出た、というニュースが流れた。
常識で考えて、120人もの治安部隊兵士が、殺害されたということは、シリア治安部隊と戦った、ミリシア・グループ側も相当な人数であったということであろう。120人のシリア治安部隊が殺害されたということは、1000人規模の部隊ではなかったかと思われるのだが、この部隊の隊員数は、明かされていない。
一定の場所に立てこもった敵と戦う場合、常識では5倍の戦闘員を必要とされる、と言われているが、もし、その常識に従うとすれば、ミリシアの数はおよそ200人から250人ということになる。
しかし、幾つかの記事を読んでいると、ミリシア・グループ側はジスル・アッシュグール市民を盾にとって、シリア治安部隊と戦った。ミリシア側は郵便局に立てこもって戦った、と伝えられている。
シリア政府の発表では、ジスル・アッシュグール市の住民の、救援要請に応えて、派兵されたとも伝えられている。
他方では、多くのシリア治安兵が、地域住民に対して発砲を命じられ、それを拒否した結果、銃殺されたとも伝えられている。それは事実であろう。
問題は200人以上と思われるミリシアが、軽火器と手榴弾、RPGなどを装備していた、とシリア政府は発表した。しかし、それだけの重装備で、しかもそれだけの数の武装した多数が、どうやって治安の厳しいシリアに、侵入できたのだろうか。
シリア政府は『武装集団』「イスラム勢力』という表現で、ミリシア・グループを説明しているが、それでは彼らはシリア国民なのか、あるいは外国から侵入してきたグループなのかについては、説明がなされていないようだ。
もし、そのグループを殺害していたら、顔形や持ち物などから、ある程度身元を割り出せると思うのだが。
ジスル・アッシュグール市はトルコ国境から20キロの地点にあるが、それではミリシア・グループは、トルコが侵入させたのであろうか、あるいはイラクが?あるいはそれ以外の国が?
実際はそのいずれでも無く、シリアの兵士の中から、反政府側に移ったメンバーではないのか。シリア軍兵士の中に、これだけの自国民を殺害する弾圧が続けば、当然の帰結として権力側から離脱し、反政府側に付く者が出て来よう。
そうであるとすれば、シリアのバッシャール・アサド体制の寿命は、あまり長くないかもしれない。