大衆蜂起が成功し、ベンアリ大統領追放に成功したチュニジアでは、いま国会議員選挙に向けて、政党結成の動きが盛んだ。
同時に、新党同士の連携が生まれ、選挙戦で優位に立とうということのようだ。そうした意図から、既に9つの政党が誕生しているが、これらの新党は連合体を結成することに、最近になって合意したようだ。
それらの政党は、正式な訳ではないが、「新運動、統一人民戦線、中間の声、共和合意党、国民民主行動党、公正国民党、アラブ民主覚醒党、民主国民運動党、チュニジア緑の党」などといったものだ。
チュニジアの場合、革命を率いる主要組織が存在しなかったことから、革命達成後に、誰がどの方向にチュニジア国民をリードしていくのかが、疑問視されていた。
今回の9つの新党結成、その上での、これらの新党の連合体が、チュニジアの政治をリードしていく、新しい政治運動に成長していけるのだろうか。甚だ疑問だが、今の段階ではこの動きに、期待を寄せるしかあるまい。
こうした動き以外にも、旧来のナハダ党の動きがある。しかし、この政党はイスラム教を基本としており、現代のチュニジアの国民の多くが、期待するような世俗主義的政策を、展開するとは思えない。
だからこそ、チュニジアの内相は「もしナハダ党が政権を握るようなことになれば、軍がクーデターを起こす。」と平気で語ったのであろう。それはチュニジア国民の多数の、意向だということであろう。
新党の結成、そして連合といった動きが始まったものの、現実にはまだまだ政権を握るだけの、本格的な政党が誕生しつつある、とは言えないのではないか。そうだとすれば、エジプト同様にチュニジアでも、今後もうひと波乱ある、と考えておいた方がいいのかもしれない。