AFPが伝えたところによれば、イエメンのアリー・サーレハ大統領の怪我は大分ひどいようだ。以前に皮膚の40パーセントがやけどを負っていると書いたが、それだけではないようだ。
もし、軽い怪我であればイエメン人の意地で、国内に留まったのだろうが、サウジアラビアに治療に向かったというのは、彼の意志ではなく家族や周囲の人たちの意志だったと思われる。
場合によっては、すでにアリ-・サーレハ大統領は、意識を失うほどの重傷を負っていたのかも、知れない。彼がサウジアラビアから近日中に帰国する、という報道があったが、それは、側近たちの判断によるものではなかったのか。
アリー・サーレハ大統領には、確か3人の子息がおり、彼らはそれぞれに、軍や治安警察のトップに、就任している。そして今は、大統領宮殿を陣取っているのだ。父親が国を留守にしても、十分に権力を守れる態勢に、なっているということだ。
問題はアリ-・サーレハ大統領がほとんど回復できないだろう、という情報が流れた場合、一気に勝ち馬に乗ろうとする国民が増え、本来維持できるはずの体制が打倒される危険性があるのだ。そのためにアリ-・サーレハ大統領の側近たちは、彼が近く帰国するという情報を、流したのではなかったのか。
そうは言っても、ここまで来るとその工作も、成功しないのではないか。これから先は、アリー・サーレハ大統領の子息たちが頑張り、体制を維持していかなければなるまい。
イエメンの場合、アリ-・サーレハ体制が子息たちによって、維持されうる可能性は、イエメンの分割によってであろう。イエメンが南北に分割され、あるいは3分割されれば、アリー・サーレハ大統領の子息たちにも、生き残りのチャンスはあろう。しかし、イエメンを統一して維持していくということは、ほとんど不可能ではないか。
その場合懸念されることは、南北あるいは3分割後の国内対立と、戦闘の勃発であろう。いずれになるかわ明言できないが、イエメンの今後は当分危険な状態が続くということであり、それは国民が苦しむということであろう。