イランのマジュリス議員(国会議員)の間で、アハマド・ネジャド大統領を裁判にかける、合意が成立した。これは、アハマド・ネジャド大統領の閣僚人事に対して振るった、大ナタが憲法違反である、という判断に基づいている。
イランは現在、第5次5カ年計画(2010年~2015年)を推進している最中だ。アハマド・ネジャド大統領の考えでは、省庁の数があまりにも多いために、仕事上不都合が発生している、ということのようだ。
アハマド。ネジャド大統領はこの考えに基づき。エネルギー相と石油相を一つにし、産業省と鉱物資源省を一つにし、住宅省と都市開発省とを一つにし、厚生社会安全省と労働省を一つに纏めた。
そして、石油相については、アハマド・ネジャド大統領が罷免したのち、そのポジションを、自分でカバーすると宣言した。
しかし、こうしたアハマド・ネジャド大統領のやり方に、マジュリス議員の間から反発が起こり、今回マジュリスで賛否を、投票してみたところ、アハマド・ネジャド大統領の行ったことが、憲法違反だとする者が165人、憲法違反ではないとする者が1人、棄権する者が13人という結果が出た。この結果に基づき、アハマド・ネジャド大統領は裁判に、かけられることになったわけだ。
この問題が浮上したのは、5月14日のアハマド・ネジャド大統領の、閣僚ポストに関する決定がきっかけだった。この日のアハマド・ネジャド大統領の発表では、サーデク・マフソウリ福祉大臣、アリ・アクバル・メフラビアン鉱物資源大臣、マスウード・ミルカゼム石油大臣らが罷免されている。
こうしたアハマド・ネジャド大統領による、大ナタで閣僚ポストは21から17に削減されている。
述べるまでもなく、各閣僚はマジュリス議員や、宗教界の大物と関係を持っており、それぞれの利害を代表しているわけだ。今回の人事刷新が大問題になったのは、アハマド・ネジャド大統領が政府の多くの権限を、独占することになる、という懸念から生まれたものだ。
一度はこぶしを振り上げて下したアハメネイ師が、今回のマジュリスの決定にどう対応するか見物だ。下手をすれば、この問題がイラン国内に、大きな混乱をもたらすことに、なるかもしれない。