「アメリカのウサーマ・ビン・ラーデン殺害情報」

2011年5月 3日

 アメリカのオバマ大統領が、イスラム・テロのボスである、ウサーマ・ビン・ラーデン殺害に成功したことを発表した。これは、世界的に大きなニュースとして、取り上げられることとなった。

無理もあるまい、ウサーマ・ビン・ラーデンはニューヨークの世界貿易センタービルに対するテロを指揮し、3000人以上の人を殺した、主犯だとされていたからだ。

 しかし、今回のオバマ大統領のウサーマ・ビン・ラーデン殺害の以前から、彼が死亡したという情報が流れていた。それは、2003年ごろからだ。ウサーマ・ビン・ラーデンは腎臓病などを、わずらっていたとされているが、アフガニスタンの山奥で生活していたのだから、病状が回復していたとは思えない。したがって、殺害されなくとも死んでいた可能性も、高いのではないか。

 さて、今回のオバマ大統領のウサーマ・ビン・ラーデン殺害の発表には、どのような目的があるのであろうか。当然のことながら、アメリカの大統領が仰々しく発表したのだから、何らかの政治的意図があった、と考えるべきなのは当然ではないか。

 アメリカは今回のウサーマ・ビン・ラーデン殺害発表で、イスラム・テロとの闘いから、段階的に手を引いていくのではないか。そうでなければ、アメリカはほぼ10年にも及ぶ、イスラム・テロとの闘いで、何の成果も生まなかった、ということになってしまう。

 アメリカはイラク戦争とアフガニスタン戦争で、膨大な国家予算を費やし、多数の国民を犠牲にしてきてもいる。世間で語られているように、この二つの戦争はアメリカ経済にとって、大きな出費を強いることになった。結果的に、アメリカ経済は相当苦しい状況に、陥っているのではないか。オバマ大統領が次期大統領選挙を控え、ひとつでも成果を挙げたいと思う気持ちは、日本の政治家と変わりはあるまい。

 問題は、アメリカがイスラム・テロとの戦争から離脱していく、という前提が正解だとした上でのことだが、今後そのことは、世界に何をもたらすかということだ。

 ウサーマ・ビン・ラーデンの死亡で、アルカーイダの活動や、アルカーイダを名乗る連携するテロ組織のテロ活動が、収束していくとは思えない。つまり、今後は司令部無しの、個々のテロ活動が起こっていくということだ。

 インク・ボトルをハンマーで割った場合、当然、インクはあたり一面に、飛び散ることになる。それと同じ現象が起こるのではないか。そのことは、現在アラブ世界で起こっている大衆蜂起と重なり、アラブ諸国をより一層不安定に、していくのではないか。

 しかも、その不安定化は、共和制のアラブ諸国よりも、王制のアラブ諸国により一層、顕著に現れてくるのではないか。何故ならば、王制のアラブ諸国の方が、アメリカと連携するスタンスを、採ってきているからだ。