イラン政府の高官が、イランは西側の国々のジェット機に対し、ジェット燃料を給油しなくなると語った。このことは、そうでなくてもイランに対する、経済を始めとする制裁の強化が、叫ばれている中では、イランをますます危険な状態に、追い込んでいくのではないか、と思われるのだが。
イラン側の説明によれば、この問題はそもそも西側諸国が、イランの旅客機に対し燃料の供給をやめたことに対する、報復措置だということだ。事実ヨーロッパ諸国の中では、ドイツ、イギリスがイラン機への給油を止めており、これに湾岸諸国が追従している。
湾岸諸国はイランから近距離にあるため、給油サービスが無くなっても、さしたる影響は出まい。しかし、ヨーロパとの間では、飛距離が長いことから、ヨーロッパとイラン双方が、給油を行われなければ、途中で給油をせざるを得まい。ドイツなどがはギリシャで給油をすることにより、安全な航行を継続しているようだ。
そもそも、この燃料に関わる制裁は、アメリカのオバマ大統領によって提案され、全ての精製油をイランに供給しない、ということから始まったものだ。なぜならば、イランは大産油国でありながら、石油精製能力が限られていたためだ。
その後、イラン政府はこの油の制裁が始まると、自力で精製施設を拡充し、輸出できるレベルにまで、増産を達したと発表している。
イランはいま、なぜ西側諸国の飛行機に対する、ジェット燃料の給油を、やめようというのであろうか。それは多分に、欧米各国のイランに対する、制裁への腰の入れ方を図るつもりで、実施されるのではないかと思われるのだが。
いまアラブ世界は、まさに大混乱の大渦の中に、飲み込まれようとしている、と言っても過言ではあるまい。そうした不安定の度を増している、アラブ世界での出来事が、イランで起こっても不思議はあるまい。
最近では、イランに対するイスラエルやアメリカによる、軍事行動はあり得ないという推測がもっぱらだが、そのことは、イランをしてより強硬な、立場を採らせているが、イランは西側諸国を嘲り笑いたい、ということであろうか。しかし、西側諸国が結束した時の爆発力は、イランが想定している以上に、厳しいものではないのか。
イランは戦争の危機が過ぎ去ったと判断しても、西側の実力を軽視するべきではあるまい。