「アフリカ諸国のリビア仲介努力は成果を生むか」

2011年4月11日

 南アフリカのジャコブ・ズマ大統領を筆頭に、アフリカ諸国の首脳がトリポリを訪問し、カダフィ派と反カダフィ派の、仲介を図り始めた。両派の戦いは、NATO軍が反カダフィ派を支援しているにもかかわらず、こう着状態に陥っているといわれている。(代表団はモーリタニア、コンゴ、ウガンダで構成されている)

 いま最も激しい戦いが展開されているのは、アジュダビア市とミスラタ市のようだ。アジュダビア市では街の中に、両派の戦闘員が入り込み、白兵戦を展開しているということだ。

 実にばかげていると腹立たしい限りだ。何のためにリビア人同士が殺し合い、公共施設を破壊し、人々を悲惨のどん底に、陥れなければならないかと思うと。カダフィ大佐はそれほどの犠牲を払っても、倒すべき相手なのか。リビアは他のアフリカ諸国に比べて、それほど非民主的な国家だったのか。

 その怒りから、現在のリビアが直面している問題の、解決の糸口が見えてくるような気がする。利害を伴わない第三者が仲介に入ることにより、カダフィ派と反カダフィ派が、リビア人であるという原点に戻って、話し合える環境が作られることを望む。

 アフリカの代表団はカダフィ大佐との間で「即時停戦」「人道支援の受け入れ」「両派の対話」を提案したということだ。報道のタイトルを見ると、あたかもカダフィ大佐がこのアフリカ提案を、受け入れたようになっているが、実際はそうではないようだ。カダフィ大佐にしてみれば、聞き置くという程度ではないのか。

 そもそも、このアフリカ首脳の訪問団が持ち込んだ調停案は、誰が作成したのかという問題がある。うがった見方をすれば、ヨーロッパの旧宗主国の人たちが、作ったものではないのか。つまり、アフリカ首脳はその書簡を、カダフィ大佐に届けたに過ぎないのではないのか。

 アフリカ首脳代表団はトリポリ訪問後、反カダフィ派の拠点である、ベンガジ市を訪問することになっているが、反カダフィ派はすでに、カダフィ大佐と彼の子息たちが関与する形での、解決策を拒否している。

 以前、トルコが提案したのは、カダフィ大佐の子息である、サイフルイスラーム氏が政党を結成して、大統領選挙に挑めばいいというものだったが、今回のアフリカの調停では、当初から反カダフィ派がサイフルイスラーム氏の、参画を拒否している。

 つまり、時間が経過するほど、カダフィ大佐側にとっては、苦しい状況になってきているということだ。たとえ戦闘が継続されても、今後、カダフィ派が勝利を収めることはないのではないか。引き際が肝心とはよく言ったものだ。