「アラブ首長国連邦サウジアラビアでも弱震始まる」

2011年4月10日

 アラブ全域で民主化要求を始めとする、社会変革を求める大衆運動が広がっている。その運動は共和国、王国の別なく、アラブ全域に広がっているようだ。共和国ではチュニジア、エジプトが第一段階を終え、リビア、シリア、イエメンがこれらの国家に続いている。

 王国ではバハレーンが最も激しく、ヨルダン、オマーンでも起こっている。力による対応が一定の限度内に、大衆の動きを抑え込んでいるが、それは圧力を増していく、密閉装置のようなにものではないか。やがて圧力は全てを破壊するレベルにまで、高まる危険性がある、と予測するべきではないのか。

 実際に、バハレーンのケースを見てみると、バハレーンの国内問題であった問題が、サウジアラビアやクウエイト、アラブ首長国連邦などによって構成された「湾岸の盾連合軍」の派兵で、次第にこれら派兵した国々にも、影響を及ぼし始め、周辺のイランやイラクにも、影響を広げている。

 そもそもバハレーンの場合は、イギリスの関与が今日のような、複雑な問題を引き起こす原因になっている。人口の20パーセントにも満たないスンニー派の人物を国王に据え、その体制を支援して来たところに、問題があるのだ。 

結果的に80パーセント程度を占めるシーア派国民は、少数派のスンニー体制によって、支配され続けてきたということだ。その社会的矛盾が、他のアラブ諸国で始まった、民主化の蜂起の嵐のなかで表面化し、バハレーンでも行動が、始まったということだ。

サウジアラビアの場合は、スンニー派が絶対的多数派ではあるが、同国の石油埋蔵地帯には、スンニー派ではなく、シーア派の国民が居住しているのだ。そのため、もしシーア派の国民が分離独立を、主張するようなことになれば、サウジアラビア政府は膨大な石油資源を、失うことになるのだ。だからこそ、少数派のシーア派国民の動きに、サウジアラビア政府は神経質であり、同時にバハレーンで起こったことに対し、異常なまでもの関心を払い、軍事力を行使するという、関与を行っているのだ。

サウジアラビアでは3月に起こった、シーア派国民の抗議行動で、100人以上が逮捕、投獄され、肉体的、精神的拷問を受けている、と伝えられている。この抗議行動の以前、つまり、15-6年前にもシーア派国民の、政治運動による、逮捕者が出ている。

彼らはいまだに、正式な裁判を行われることもなく、投獄され続けているということだ。世界の人権団体が、次第にサウジアラビアのシーア派国民が、置かれている状況に対しに、強い関心を寄せ始めており、近い将来、何らかの変化が起こることが予測される。

アラブ首長国連邦でも、人権活動家でブロガーである人が、自宅で逮捕されている。彼の名はアハマド・マンスール氏で、先週金曜日に自宅で警察に逮捕され、連行されていったということだ。

アハマド・マンスール氏の妻ナデア夫人は、夫の逮捕をめぐり、警察に逮捕理由を聞こうとしたが、答えてもらえなかったということだ。10人の制服、私服の警察が自宅に進入し、連れ去ったと語っている。

彼以外には、アラブ首長国連邦の元法律家であり、活動家であるムハンマド・アルマンスーリ氏も、逮捕され連行されたままだということだ。彼らが現在どういう状況に置かれているのかについては、全く分からない状態だ。

こうした反政府派に対する強硬な対応が、果たして国内に安定をもたらすのか、あるいは逆の効果をもたらすのかについては、今の段階では判断し難い。しかし、物事は流れる方向に流れる、推移していく、と考えるべきではないか。強硬対応は結果的に、より悪い状況を生み出すのではないか。