「カダフィ大佐の最後を決めるかロンドン会議」

2011年3月29日

 3月29日からイギリスのロンドン市で、リビア問題を討議する会議が、38カ国以上の代表を集めて開催される。会議の名は「リビア国民へのよりよい将来」というのだそうだ。

 実際にはこの会議で、リビア国民のよりよい将来よりも、カダフィ大佐をどう始末するかに、討論は集中しそうだ。既にイギリスのキャメロン首相や、フランスのサルコジ大統領は、大はしゃぎしている。

 彼らの口から出てくる言葉は「カダフィ大佐を一時でも早く、リビアから追い出せ」「カダフィ大佐を待っているのは、国際司法裁判所の判決だ」といったものだ。

 既にこの二カ国は、カダフィ大佐打倒後のリビアの権益を、どう分け合うかについて、秘密の話し合いに集中しているのではないか。それだけイギリスとフランスの経済状態は、悪化しているのだ。

 イギリスはイギリス在住の人物、例えば、サヌーシー国王の末裔などを抱え込んでおり、これらの手持ちの人物の中から、誰かをロンドン会議に出席させることによって、利益を確実なものにしたい、と考えているようだし、フランスはフランスで、ベンガジに本部を置く臨時政府の代表を、呼びたいと思っているようだ。

 リビアの旧宗主国であるイタリアも、このイギリス・フランス間の秘密取引から、除外されてはなるものかとばかりに、「国際社会はカダフィ大佐を受け入れることが、出来なくなった。」という厳しいカダフィ大佐批判を行っている。

 こうした賑やかな欧州諸国の反応に比べ、アメリカは意外に穏やかな、反応を見せている。しかも、アメリカは土壇場でリビア作戦の指揮権を、NATO軍に移譲しているのだ。

 つまり、アメリカは応分の支援を、イギリスやフランスに送るつもりではいるが、決定的な段階にまでは、足を踏み入れたくない。そして、わずかに残った平和的な解決の可能性に対しても、努力してみたい、ということではないのか。その可能性への試みのパートナーは、トルコだということであろう。

 トルコは既にご紹介してきたように、カダフィ大佐側に対し、妥協の道を示している。その妥協にカダフィ大佐と彼の家族が乗らなければ、カダフィ大佐はNATOによる空爆か、リビア人の手で処刑されることに、なるのではないか。