「国連安保理リビア攻撃を決定」

2011年3月18日

 国連安保理はリビアのカダフィ体制による、反対派に対する軍事攻撃が、激化していることを受け、飛行禁止空域を決定するとともに、地上軍の派遣も視座に置いたようだ。

 この国連安保理の決定では、ロシアと中国が棄権したが、ほとんどの国が人道的見地から、賛成に回ったようだ。次いで、アメリカ、イギリス、フランスは、早速リビアに対する軍事攻撃を、検討し始めている。

 飛行禁止空域を定めても、それをリビア側に破らせないためには、航空機による制止行動を、行わなければなるまい。その場合、事前にリビアの飛行場やレーダー・サイトに対する、空爆が必要ということになる。

 加えて、地上軍を派遣し、カダフィ大佐支持のリビア軍による、東進を阻止しなければならない。

 この場合、アメリカ、イギリス、フランス軍だけではなく、アラブ合同軍の派遣を、アメリカは検討している。その交渉に、クリントン国務長官が動き出しているようだが、果たして、アラブのどの国が実質的に、戦闘可能な軍隊を、派遣することになるのか。

 アラブ軍と言えば、最初に頭に浮かぶのはエジプト軍だが、エジプトは革命の後の混とん期にあるため、スムーズな派遣が可能か疑問だ。しかし、他のアラブの国々には実際の戦場で、どれだけ役に立つのだろうか。

 アメリカやイギリス、フランスの、戦略立案と合意の後に、実際に軍がリビアに侵攻するのであろうが、それまでには時間がかかろう。それを見越してか、カダフィ大佐は外国がリビアに侵攻してくる決定を下したら、全面的なベンガジの反体制派に対する攻撃を、展開すると恫喝している。

 しかし、他方でカダフィ大佐は妥協点を、模索し始めてもいるようだ。それは、アメリカ、イギリス、フランス軍が、カダフィ体制打倒に向けて、軍を進めることに対する、恐怖心からであろう。

 カダフィ大佐の妥協と恫喝の両面作戦は、既に通用しなくなったのでなないかと思われる。イギリスとフランスは自国の経済状況などを考えると、一日も早いリビア問題の解決が、必要なのであろうし、アメリカはアメリカで、長い間準備していた、反カダフィのための切り札を、切り始めているのだから、カダフィ大佐との妥協はあるまい。

 その中で、多くの犠牲者がリビア国民の中から出ることは、イラクの前例を見ればわかるように、極めて悲惨なことであろう。