いま話題になり始め、世界で注目を集めているニュースがある。それはリビアの内戦で、2人の大佐が戦う、というニュースだ。述べるまでもなく、一人はカダフィ大佐であり、もう一人の大佐はチャド戦線に送られ、その後ザイールに移動し、アメリカにいたのではないか、と言われている、ビルカースム・ハフタル大佐だ。
彼は1973年に起こった第四次中東戦争で、ハット・バールリーフ突破時に、リビアの戦車隊を指揮し、最初にシナイ半島に侵攻した、英雄的な人物だ、と言われている。
彼が最近、ベンガジに到着し、反体制派の加わった、という情報なのだ。このことは、反体制派リビア人を鼓舞し、士気を高めるものと思われる。
このニュースと相前後し、種々のニュースが飛び交っている。まず、ニューヨーク・タイムズのジャーナリストが、リビア国内で行方不明になったというニュースだ。その人数は4人だとも報じられている。
これに先立ち、アラブ連盟がリビアに対する、飛行禁止空域の設定に、賛成したという情報も流された。こうしたことを受けて、アメリカ政府は国連に対し、リビアに対する飛行禁止空域の設定を、真剣に討議すべきだ、とも述べている。
フランスはG8会議で、飛行禁止空域の設定と、それを有効にするための、空爆を提案したが、EU諸国の反対があり、うまく合意に達しなかったようだ。フランスの外相はこのG8会議後、アラブ諸国は反カダフィで立ち上がるべきだ、と強調している。
こうした西側諸国の動きに対抗し、カダフィ大佐は全面的な、軍事攻撃を用意しているとし、ベンガジの一般住民は、ベンガジから逃げ出すように、警告している。そして、カダフィ大佐の次男サイフルイスラ-ム氏は、2日間で反体制側を、撲滅すると語っている。
つまり、カダフィ体制側はここ2日間を、天王山と考え、本格的な空爆と、その後の地上部隊の侵攻を、計画しているということであろう。それは同時に、アメリカをして、緊急の軍事展開を、真剣に検討させる、ということではないのか。まさに一級のアラートの状態に、アメリカとリビアはあるということだ。
こうした動静は、リビアに対する外国軍の軍事進攻、あるいは外国の反体制派への、本格的な支援が間もなく始まる、ということではないか。