リビアの戦闘が激化する中で、秘密交渉が始まったという情報が、流れ始めている。リビアのカダフィ大佐の特使、アブドルラフハマン・アッザーウイ将軍がカイロを訪問し、エジプト軍トップとの交渉を、要請したようだ。
このことは事実であろう。しかし、そこで何が話し合われるのかについては、全くあかされていない。
他方、ヨーロッパから秘密特使団がリビアに派遣される、という情報が流れ始めている。それは、カダフィ大佐が安全に、辞任できる道筋を付ける、ということのようだ。
しかし、これはほとんど効果が、無いのではないかと思われる。カダフィ大佐はリビア国内で、正式な地位を持っていないからだ。すでに彼が語ったように「大統領ならその職をすぐにでも捨てるが、私には何の公式な地位もない。」つまり、カダフィ大佐は辞任したくても、辞任する地位が無いのだ。
また、カダフィ大佐は安全な場所に逃れるとか、彼の財産を保全したいとも考えていないだろう、というのが情報筋の大方の分析だ。
このカダフィ大佐に対する、ヨーロッパからの安全圏への逃亡と、財産の保全の情報は、カダフィ大佐に対する揺さぶりと、カダフィ支持派に対する、分断工作ではないのかと思われる。
それでは、カイロに飛んだカダフィ特使のアブドルラフハマン・アッザーウイ将軍は、何をエジプトの軍と話し合うのであろうか。この疑問に対する答えではないか、と思われる情報がある。
それは、リビアに対する飛行禁止空域の設定について、それを実施することは、アラブ合同で出来ることであり、欧米にまかせるべきではない、という考えだ。エジプトのリビア国境に近い、メルサ・マトローフ空軍基地を使えば、出来るという考えだ。
いまアラブ各国はいずれも、チュニジアやエジプトが経験した革命、そして今リビアが直面している国内動乱は、明日は我が身なのだ。そうなると、いかにして欧米による、大破壊から自国を守るか、ということが、重大関心事になってきているのであろう。
サウジアラビアのサウード・ファイサル外相は、「いかなる外国の介入も、断固拒否する。」と言明している。説明するまでもなく、それは欧米に向けられた言葉ではないのか。もちろん、イランということも考えられなくはないが。