遂にサウジアラビアを始めとする湾岸諸国が、バハレーンに軍隊を派遣することを決めた。サウジアラビア軍の合計は、1000人だということから考えて、多分、バハレーンに派遣されるGCC軍人の総数は、1200~から1300人に上るものと思われる。
バハレーンの王家とすれば、体制崩壊は生死にかかわる大事件であり、やむなく派兵を要請したのであろう。しかし、同時に忘れてならないのは、バハレーンにはアメリカ海軍が、駐留しているという事実だ。
つまり、駐留アメリカ軍が前面に出ることは、バハレーンのシーア派イスラム教徒国民を刺激し、ますます状況が緊迫するためであろう。その為に同じような顔をした、湾岸諸国が派兵士を送り込み、出来るだけ穏便な対応を、するということであろう。
しかし、湾岸諸国のいずれも、こうした暴動やデモに対する対応策や、対応技術を持っていない。そのため、バハレーン国民の挑発に乗り、過剰な対応を取る可能性があろう。そのことは、犠牲者を出すことにつながり、ますます状態を悪化させる、ということではないか。
アメリカ軍が背後から、これら湾岸諸国軍を指導しなければ、らちはあかないのではないか。
しかし、そのことはイランを刺激しよう。バハレーンのシーア派イスラム教徒国民が、湾岸諸国のスンニー派の軍隊によって弾圧された場合、座視できないのではないか。
イランは湾岸諸国のバハレーンへの派兵に対し、厳重な抗議をするだろう。次いで軍を派遣するわけにはいかないであろうことから、工作員を潜入させる可能性があろう。
サウジアラビアにとっては、バハレーンは自国領土のようなものであることから、対応を急いだのであろうが、ますますバハレーン情勢は悪化する、と考えたほうがよさそうだ。
それに伴って、クウエイトのビドーンやシーア派イスラム教徒国民も、黙ってはいないだろうし、サウジアラビアのシーア派イスラム教徒国民も、行動を激化させる懸念がもたれよう。
湾岸諸国は今後、不安定の度を増していくのではないか。それは同時に、世界の石油供給に、大きな障害が出てくるということだ。