「エジプト大衆蜂起時・日本大使館は何をしていたのか」

2011年2月13日

         

      エジプト国内状況が、明確に悪化した段階で、在エジプト日本大使館は、各旅行会社のツアー・コンダクターに連絡を入れ、即刻国外脱出するように、指示したということだ。このため、ルクソ-ルやアスワンといった、地方都市に居た観光者は、あわててカイロ空港に、戻ったということだ。(もしこの指示が無ければ、旅行者はホテルと水食料の、確保に困ることは無かったろう。)

 旅行者がカイロ空港に集まった段階で、大使館からは、一箇所に集まっているように、という指示が出たそうだ。しかし、その後、大使館のスタッフが、日本人観光者に対して、状況の説明に顔を出したわけでも、水や食料を差し入れてくることも、無かったそうだ。

 空港で既にチェック・インを終えていた人たちは、自分がどのように出国手続きをしていいものか、しないほうがいいのかが分からず、出国手続きが済んだ人たちも、何時まで空港内で待つのか、分からない状態におかれたそうだ。

 空港を出て市内のホテルに泊まり込むには、一旦済んだ出国手続きを、破棄し、入国しなおさなければならないし、自分の荷物も受け取らなければ心配なのだが、大使館からは誰もそれを手伝いには、来てくれなかったそうだ。

 結果的に、エジプトの観光会社の一部日本人担当スタッフが尽力して、この危機的状況を切り抜けたということだ。 

彼らの尽力に敬意を表し、ここにその誠意ある人たちの、名前を知らせよう。

1:ミスルトラベル社のムハンマド・イスマイルさん

2:バヒ・トラベル社のアハマド・ユーセフさん

3:サッカラ・ツアー社のオサーマ・シンデイさん

 彼らは誰に頼まれたわけでもないのに、カイロ空港近くのホテルや、商店を走り回り、水とランチ・ボックスを確保し、日本人旅行者に届けてくれたということだ。また当座の寝場所も確保してくれたということだ。

こういう会社と尽力してくれた人たちにこそ、私は日本政府が感謝状を送るべきだと思う。

日本国民は緊急時にあっては、自己責任で全てを行わなければ、ならないということのようだ。(実際に空港では、日本人旅行者たちがいち早く、当座の寝床造りのために、ダンボールを集めていたそうだ。路上生活者に学んだのであろうか、まさにそれは、自己実現のひとつの形であろうか。笑うに笑えない実話だが。)

 この話は、現地で今回のエジプトの、大衆蜂起に遭遇し、国外脱出した人から聞いた話しなので、断定的な表現は避けることにした。