昨夜の深夜、ムバーラク大統領が辞任する、という情報が飛び交った。深夜の1時半頃であったことから、何人かの外人の友達が遠慮がちに、エジプトの急激な状況変化を、電話で知らせてくれた。
早速ネットで調べたが、ムバーラク大統領の去就に関する、明確な情報が載っていない。唯一、軍が大衆に向けて「君たちの希望は達成される。」というものだけだった。
それでもこれは大きな変化と思い、ムバーラク辞任とその周辺を短く書いてブログに載せた。そして今朝起きてみると、ムバーラク大統領は9月には辞任するが、いまではないという立場を、明らかにした。
ムバーラク大統領がお気に入りの、シャルム・エルシェイクの別荘に移動した、シャルム・エルシェイクに移動する、そこかららアラブ首長連邦あるいは他の国に行く、といった情報が飛び交っている。
つまり、いまだにあらゆることが、不明確だということだ。今の段階で言えることは、ムバーラク大統領が最後まで自分の意思で、今後の身の振り方を決めたい、と考えているということであろう。
エジプトの女性ジャーナリストが「ムバーラク大統領は軍人であることから、誇りある身の振り方を、希望しているのだろう。」と語っているがそうであろう。彼は追放も、大衆蜂起への敗北によってでもなく、自分の意思で何時どう辞任するかを決めたい、ということであろう。
しかし、その辞任の時期が、9月までと大分先になるようなことになれば、大統領と国民との間に位置している軍は、対応に苦慮するだろう。ムバーラク大統領の辞任が遅れれば、大衆はまさに暴徒と化し、モロトフ(火炎瓶)を公共ビルに向けて、あるいは無差別に投げ始めるかもしれない。まさにムバーラク大統領が懸念する、カオスの状況が、起こりうるということだ。
ムバーラク大統領を支持し、軍が国民に発砲するようなことになれば、それは益々この国を、混乱のるつぼに突き落とすことになろう。それは軍の兵士も幹部も望むところではあるまい。あるいは一将兵によって、ムバーラク大統領に向け、拳銃の引き金が引かれるかもしれない。
ムバーラク大統領は軍の出身であり、今でもエジプト軍の、最高のポジションに位置している。人はその引き際によって、価値が決まると言われる。ムバーラク大統領の誇りへの執着は、どう説明しようとも、エジプト国内でも国際社会でも、批判の度を増していくのでないか。