アラブの強権力国家の元首たちは、明日はわが身もチュニスかエジプトか、という心境で、大きな不安を抱えていよう。
そうした中で、相変わらずリビアのカダフィ大佐は、強気の発言をしている。リビアの反体制組織NCLO(リビア反体制国民会議)の代表と電話で話し合い、NCLOが企画している2月17日の「怒りの日」デモを、やれるものならやってみろ、と切り返したということだ。
この2月17日という日は、2006年に2月17日に預言者ムハンマドの漫画に、抗議する名目で集まった大衆が、反カダフィデモに変わり、死傷者を出した記念の日だ。
リビアでは特に、東部地域のベンガジやアルベイダ市、トブルク、デルナ市などで、失業問題の拡大、建築物の老朽化、地域行政の混乱などが、限界に達している。このため、今回のデモ呼びかけも、リビアの東部を中心に、激しいものになるのではないか、と予測されている。
しかし、カダフィ大佐は自分の周囲にいる、ジャーナリスト、政治活動家、テレビ関係者などと、秘密会議を行った。その中で、カダフィ大佐は政治・経済に関する、重要な変革を行うと語ったということだ。
この席でであろうか。カダフィ大佐はエジプトで起こっている、反体制デモを非難し、ムバーラク大統領は貧しい、と擁護する発言をした。そのために、リビアは彼に服を買ってやったんだ、とも語ったということだ。
ベン・アリ・チュニジア大統領の失墜についても、彼が嫌われたのは、彼の奥さんがトラボロシ―(リビアのトリポリ出身を意味する苗字)だったからだ、と言ったという。
また、イスラム世界ではつとに有名な、エジプト人イスラム学者で、現在カタールの亡命している、カルダーウイ師については、「彼はエジプトのムバーラク体制打倒を国民に言うよりも、湾岸諸国にあるアメリカ軍基地を、追い出すことを指導すべきだ。」と語ったということだ。
さて2月17日はもうすぐやってくるが、カダフィ大佐の強気発言は、その通りになるのか、あるいは意外にNCLOのデモ呼びかけが、成功するのか。かたずをのんで、待とうではないか。