「ヨルダンでエジプト大衆蜂起支持座り込み」

2011年2月 9日

 ヨルダンの首都アンマン市にある、エジプト大使館前に、数百人のヨルダン人が集結し、エジプトの大衆蜂起を支持する、座り込み抗議集会を行った。これはヨルダン国民が、純粋にエジプト国民の大衆蜂起を、支持した行動とも受け止められるが、それ以外の意図があることも、十分に考えられる。

述べるまでも無く、最近、ヨルダン国内の状況は、険悪の度を増してきている。ヨルダンのベドウインのラニヤ王妃に対する抗議が、その中心的理由だが、それは同時に、王家そのものに対する、抗議行動であろう。

そうした状況の中では、ヨルダンの内務省は、第一級の警戒態勢を、敷いていよう。そうであるとすれば、安易にデモを行うことは、命取りになる危険性があるのだ。そこで、ヨルダン国民が体制に対して、いま一番取りやすい抗議行動の方法は、エジプトの大衆の蜂起を、支持するという形だ。

外国の出来ごとに対する支持のデモは、国内問題では無いことから、大目に見られるからだ。ヨルダンで起こっているデモや、座り込みで叫ばれる、ムバーラク大統領追放のシュプレヒコールは、実は自国の権力者に、向けたものである場合が多い。

 そして、その抗議の集会が大規模になっていくと、国民は突然矛先を、自国の権力者、体制に向けるのだ。したがって、現在、ヨルダンで起こっているエジプトの大衆蜂起支持の、座り込み抗議集会は、何時でも自国体制に、矛先を向けうるということだ。それは中国でつい最近起こった反日デモに、中国政府が異常な警戒を示したのと同じ理由だ。

 これからヨルダン以外のアラブの国でも、エジプトの大衆蜂起を支持する、デモや座り込み抗議行動が、起こる可能性があろうが、それは実は、ヨルダンの場合と同じように、間接的に自国の体制や、国家元首に向けられている、場合があるということだ。

 レバノンでもエジプトの大衆蜂起の、支持デモが行われたし、パレスチナでも起こっている。これらの国々の国民の多くが、いち早くエジプトの大衆に支持を送ったということは、彼らも体制に対して、大きな不満を抱いている、ということなのだ。

イランでも似通った現象が起きている。大統領候補として、ムサヴィ氏と一緒に立候補したカロウビ師が、エジプトの大衆蜂起を支援するデモの、許可をイラン政府に求めたのだ。

 イラン政府とハメネイ師の、エジプトの大衆蜂起に対する対応は「イランのイスラム革命が影響を与えた」「アラブもイスラム国に変わっていく」というものであり、全面的にエジプトの大衆蜂起を、支持し支援する姿勢なのだ。

 したがって、野党側が企画した支援デモであっても、これを認めなければ、辻褄が合わなくなる。そこをカロウビ師は狙ったのであろう、同時に、カロウビ師がエジプトの大衆蜂起支援のデモに、何十万人という動因をかけることが出来れば、それはそれで、野党側の大衆動員力と、結束力を内外に誇示することになり、現体制に対する批判にもなろう。

 カロウビ師はハメネイ師、アハマド・ネジャド大統領側がこの支援デモ、認めなければ、体制側の主張に矛盾が生じる、とまで言っている。さてこのカロウビ師の要求に、体制側はどう応えることやら。