エジプト国内の騒乱状態が、いまシナイ半島に駐留するエジプト兵たちを、窮地に追い込んでいるようだ。彼らには水も食料も、届かなくなっているのだ。季節が冬だからいいようなものの、夏場であればシナイ半島は極暑、水の消費量も馬鹿になるまい。
何とかいまは消費を抑えながら、長引かせているのではないか、と思われるが、それでもやはり限界があろう。そうした厳しい状況に置かれている、エジプト兵に同情した、ガザの住民が食料の提供を、始めているということだ。しかし、ガザの住民の食料も、それほど多いとは思えないことから、多分、この支援にも限界と限度があろう。
その後、エジプト兵たちはどう食いつないでいくのだろうか。かつて、1967年戦争のとき、シナイ半島に進軍したエジプト兵が、イスラエル軍によって退路を断たれ、水と食料が無いために、大量に餓死しているのだ。
世界のガザ支援を進める人道団体は、今こそシナイ半島のエジプト兵たちに、食料と水を送るべきではないのか。そして、それをイスラエルは、認めるべきであろう。ムバーラク体制が打倒された後の、イスラエル・エジプト間の軍事緊張を、懸念するイスラエルは、エジプト兵を救うことによって、将来の安全を手に入れるべきであろう。
もし、ガザのパレスチナ人たちの支援が、シナイのエジプト兵の生命を維持させた場合、そして、それにイスラエルが手を貸さない場合、エジプト兵はエジプトからガザに抜ける、密輸トンネルの監視を、緩めるであろう。それは、当然のことだ、命を救ってくれたガザの人たちに対して、エジプトの兵士も同様に、ガザの人たちの命を救おうとするであろう。
そうなれば、今までにも増して、エジプト側からガザ地区に食料、日用雑貨、そして武器が流れ込むことになろう。その結果が生み出す危険を、イスラエルが考慮するのであれば、イスラエルこそがエジプト兵に、食料を送り支援してやるべきではないのか。
日本には「敵に塩を送る。」という美談がある。それは美談だけではなく、将来のイスラエルの、安全を保障することにもつながる戦術なのだから。