「サウジアラビアはなぜ外国要人の亡命を認めるのか」

2011年1月20日

 チュニジアのベン・アリ大統領体制が打倒され、サウジアラビアに亡命が決まった後、何人かの友人たちに、「何故サウジアラビア政府は、外国要人の亡命を認めているのか?」という質問を受けた。

 それは、サウジアラビアが全てのイスラム教徒にとって、開かれた国だからだ。イスラムの2大聖地があるサウジアラビアとしては、受け入れざるを得ない、というもっともらしい説明をした。

 しかし、そう答えた後で「何故なのだろう」という疑問が頭に浮かんだ。先の説明は大筋で間違いでは無かろうが、確信が持てなかったからだ。その後、サウジアラビアのアッシャルク・ル・アウサト紙が、どうやら本当らしい説明を、していたので紹介する。

 それによると、サウジアラビア政府は亡命後も、その元大統領や国王が、亡命先から工作し、自分の国で流血の報復合戦を、繰り返すことを避けるために、一切の政治活動を行わないことを条件に、亡命受け入れ許可をする、ということだ。

 そのことは、革命やクーデターが起こった国の、国民の安全に寄与することになり、結果的には、その国とサウジアラビアとの関係が、良好なものになるということのようだ。

 これまでに、サウジアラビアは、1979年にウガンダのアイデ・アミン元大統領の亡命を認めているし、スーダンのヌメイリ大統領の亡命も認めている。それ以外には、古い話になるが、イエメンのムハンマド・アルバドル国王、パキスタンのナワズ・シャリフ大統領も、サウジアラビアに一時期、亡命していたことがある。

 今回のベン・アリ大統領の亡命にあたっては、最初、リビアのカダフィ大佐が受け入れ意思を、同大統領に伝えたが、自分の身の安全性を考えると、サウジアラビアの方がいい、と判断したのであろう。

 サウジアラビアがこうした、亡命者の受け入れを行うことは、亡命後の国家の安定の上では、極めて効果的なものと考えられる。こうした、あまり目立たない、サウジアラビアの貢献を、賞賛すべきであろう。