チュニジアで起こった激変と、ベン・アリ大統領のサウジアラビアへの逃亡は、少なからぬというよりも、アラブ各国首脳たちに大きなショックを、与えたようだ。アラビア語各紙誌は、政治評論家の意見を軒並み掲載し、今後、チュニジアで起こった変革が、どうアラブ諸国に影響を与え、どうなっていくのかを、予想させている。
これらの論評を集めて紹介したのは、アラブの仇敵である、イスラエルのエルサレム・ポスト紙だが、その一部をご紹介したいと思う。ただし、冒頭にご紹介したように、コメントをしているのは、アラブ人評論家であり、それを掲載しているのは、アラブ紙誌なのだということを、忘れずに読んでいただきたい。
:サーミー・ブハイリ氏「べン・アリ大統領に起こったことは、アラブの首脳たちにとって、空前の屈辱的な、出来事だった。」
:アハマド・アブー・マタル氏「アルジェリアでも、同様の政権交代を、起こすことが出来る。」
:アハマド・ラシーン氏「チュニジアで起こったことが原因で、アラブ全体がカオスに巻き込まれよう。アルジェリアとヨルダンでも、反政府デモは起こっている。アラブの大衆はあまりにも長い間、弾圧され続けてきたために、暴発寸前の状態にある。」
:アブドルバーリ・アトワーン氏「アラブの独裁者の大部分にとって、これからの数日間が、重要かも知れない。チュニジアの生活水準は、アラブ世界のなかではいい方だった。
チュニジアの独裁体制も、他のアラブの独裁体制に比べると、それほど酷くは無かった。
アメリカはグアンタナモと同じように、アラブの独裁者たちのために、太平洋の島を準備するべきだ。
チュニジアは死の犠牲無しに、人権、公正、民主主義を実現できることを教えてくれた。
:フセイン・マジュドウビ氏「チュニジアでの変革が起こるまで、アラブの独裁者たちが今後どうなるのか、分からない状態だった。
しかし、今ではチュニジアで起こった変革に、モロッコ、リビア、アルジェリア、エジプトが続いているということだ。
欧米諸国はこれまで、アラブ大衆の苦境を無視し続け、独裁者たちを支え続けてきていた。
チュニジアの大衆暴動が(アラブ世界での権力交替が)イスラム過激派台頭の恐怖に繋がる、とい考え方が、正しくないということを証明した。
パレスチナのヨルダン川西岸地区では、大衆がチュニジアで起こった変革を歓迎したが、ハマースはパレスチナ自治政府の幹部たちも、同じ運命をたどるだろう、と警告している。
パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長と彼の息子たちは、パレスチナ人も間で、最も裕福な人たちだ、とも指摘している。従って、ヨルダン川西岸地区の大衆は、これ以上屈辱を受け入れることが、出来ないだろうと語っている。
さて、これを読んで皆さんは、アラブの今後をどう予測するだろうか。また日本政府はこうした状況変化を前に、アラブ諸国への対応を、変化させていくのだろうか。