「話題のレベルを超えたチュニジア情勢」

2011年1月12日

 チュニジアの国内不安状況は、単なる話題のレベルを、はるかに超えたとようだ。

デモ隊に対する警察の発砲で、既に公式発表で21人が死亡。非公式発表では、40―50人が犠牲になった、と伝えられている。

 しかも、デモは地方都市ばかりではなく、遂にチュニジアの首都の、チュニスまで拡大している。

 政府の発表では、庶民の「職よこせ」「もっといい生活を」の要求デモを、過激派やイスラム原理主義者が煽って、現在のような危険な状態にしたのだ、と説明している。

 しかし、そうとばかりは言えないようだ。庶民の要求には、失業対策と経済改善があるが、そのことに加え、ベン・アリー大統領に対する直接的な非難の声も、出てきている。23年にも渡る彼の統治に、限界が来ているのかもしれない。

 若者たちは商店を襲撃し、物を奪い、銀行にも放火するに至っている。言ってみれば、無政府状態ということになろうか。しかし、最近では強権の発動により、暴動は少し収まりつつある、とも伝えられている。

政府は経済対策、失業問題解消のための、30万人の就職口の用意に加え、社会問題、政治的自由の拡大なども、進めなければならなくなってきたようだ。

 今回のチュニジアのデモあるいは暴動でも、ツイッターやフェイスブックが効力を発揮したようだ。その中には「大統領国民は死にかけています。」という文章があり、庶民の支持を強めたということだ。