エジプトの著名ジャーナリストが、トルコのザマン新聞のインタビューを受け、2011年を予測している。彼はファハミー・ホエイディ氏で、エジプトの主要紙アルアハラーム紙を始めとする、エジプト・マスコミで健筆を振るってきている人物だ。
ファハミー・ホエイディ氏は、コプト・キリスト教会に対するテロの遠因は、エジプトの非民主的な体制にある、とムバーラク体制を非難することから、インタビューを始めた。
「コプト教会に対する襲撃事件には長い複線があり、その上に発生したものだ。現在に到ってもその主犯が誰であるかは、明らかになっていない。しかし、アルカーイダの影響を受けた、国内のグループによる可能性がある。しかし、外部の関与も否定できない。」と語っている。
今年実施されるエジプト大統領選挙については、ムバーラク大統領の再立候補を予測し、ムバーラク大統領に代わる立候補者の存在については、8千万人の人口を有するエジプトに、大統領にふさわしい人物がいないわけが無い、と明言した。
そして、現在の非民主的体制が続く原因は、軍事体制にあると語っている。(1952年のナセル革命以来、エジプトの大統領ポストは、軍人で占められてきた。初代のナセル大統領、第二代のサダト大統領、現在のムバーラク大統領のいずれもが、軍人出身である。)
加えて、アメリカやイスラエルなど西側の国々が、ムバーラク体制が続くことを希望していることも、原因だと語った。西側諸国はムバーラク大統領体制継続を希望し、西側に近い政府が継続されることを、必要としていると語っている。
しかし、政府のコントロール下にない社会的ネットワークが、これまでの状況を変革することに繋がろうと語り、それを青年層が活用していると説明した。
トルコとアラブ諸国との関係については、トルコが既にアラブ連盟のオブザーバーであるとしながらも、トルコとアラブ諸国との間には、立場の違いが存在する。たとえば、ハマースの処遇について、トルコ政府は選挙で選出された正当な政府だとしているが、エジプトはハマースを正式には、認めない立場を採っている。
南部スーダンの分離独立については、それが中東地域全体に、影響を及ぼすだろうと語った。「分離は新たな問題を生み出す、たとえばナイルの水の問題だ。そればかりではなく、イエメンにも影響を与え、イエメンの中でも南北の分裂の動きが強まろう。イラクでの将来も不明でクルドの分離独立問題がより明確に出てこよう。」と語っている。
「モロッコとアルジェリアの間では、サハラ問題が注目される。このようにスーダンの分裂は地域の各国に、影響を及ぼすことになる、と予測すべきであろう。」確かに、中東の一国の動きは、周辺諸国に影響を及ぼすであろう。その意味で20011年は、中東地域全体が不安定の度合いを増す年、ということであろうか。