難民生活やイスラエルの弾圧で苦しむ、パレスチナの人たちに対する、世界からの支援金額は、莫大な額にのぼる。その支援金の合計が、1970年以来どれだけの額に達しているのかを、知る人はいないだろう。
それだけではない。パレスチナの幹部が湾岸諸国などを訪問した際に受け取る、個別の寄付金を加えれば、パレスチナ革命は世界的に優秀な企業と、肩を並べるほどの、利益を生み出していよう。
愚かな善意にあふれた日本人の、どちらかといえばあまり経済的に、余裕の無い人たちがそこにいって、支援活動をしているのだから、何とも皮肉な話だ。しかし、日本の支援活動をする人たちの一部にも、支援企業を経営している人たちがいる。外務省が汚れた仕事や、危険な仕事はしたくないために、いわゆるNGOなる組織を立ち上げさせ、その組織に金を渡して、支援活動をさせているというのもある。この外務省の下請けNGOも、悪くない商売のようだ。
支援を受けるパレスチナ組織の中核をなすのが、ファタハと呼ばれる組織だが、そこの幹部になるということは、大金が転がり込んでくる、ということの代名詞なのだ。したがって、パレスチナ人の多くが、このファタハの執行部役員になりたがる。
最近、その一人だったムハンマド・ダハラーン氏が、マハムード・アッバース議長の怒りを買い、除名されたようだ。ムハンマド・ダハラーン氏がミリシアを囲っており、そのミリシアを使って、クーデターを計画していたことが、発覚したというのだ。
ファタハ、あるいはパレスチナ組織が、こうも資金は豊かになったのは、オスロのイスラエルとPLOが交わした、和平合意後だといわれている。それ以前にも、パレスチナ組織各派は、湾岸諸国を恫喝して、しかるべき寄付を、強制していたようだ。
オスロ合意前には、ムハンマド・ダハラーン氏には資金的余裕は、無かったようだが、以来、金満家に成長したということだ。それがミリシア結成を、可能にしたのであろう。
最近では、テレビ放送局も運営していたが、パレスチナ自治政府が閉鎖命令を出した。彼に宣伝媒体を与えない、という目的からであろう。また、彼の自宅に付けていたガードも、外されたということだ。
ムハンマド・ダハラーンの支持者たちは、それではマハムード・アッバース議長の二人の息子はどうなのだと反発している。マハムード・アッバース議長の二人の息子、ヤーセルとターレクも、金満家のビジネスマンとして、知られているのだ。目くそ鼻くそが、革命の貴族化と堕落から、生まれたということなのであろうか。