BBCが「イスラエルによるガザ侵攻はあるかないかではなく時間の問題だ。」というニュースを流した。そのニュースと前後して、イスラエルによる徹底的なガザへの密輸トンネル破壊で、ガザを支配するハマースには、もう武器がほとんど残っていない、というニュースが流れていた。
ハマースがイスラエル領内に、撃ち込んでいたロケット弾も、600―700発撃ち込んだために、ほとんど残っていないということだ。しかし、ハマースはそれほど愚かだろうか。イスラエルが考えるほど、ハマースの武器が減少している、とは考えにくいのだが。
さて、今回イスラエルが本格的な、ガザ攻撃をするとなれば、いろいろなことが起こってこよう。ウイキリークスの流した情報が、大きく影響するのではないかと思われる。
それは、以前にも書いたように、イスラエルに対しファタハとハマースが戦闘を展開していた時、不利になったファタハは、イスラエルに対しハマースを潰してくれるように、依頼していたということがあった。
今回、イスラエルがガザを攻撃すれば、ハマースはこれをファタハ非難の、最大のチャンスとみなそう。ファタハがガザの住民を殺すよう、イスラエルに頼み込んだ結果、このような悲惨な状況が生まれたのだ、とハマースはパレスチナとアラブ諸国、そして世界に訴えよう。
そうなれば、ヨルダン川西岸地区でも、ハマースを支持するパレスチナ人が増加し、ファタハとハマースの武力衝突が起ころう。それは、イスラエルにとってすこぶる好都合な、展開ではないのか。
結果的に、イスラエルはファタハとハマースを弱体化させ、中東和平交渉をパレスチナ側の理由によるとして、延長することが出来よう。ガザ侵攻をどのタイミングでやめるかにもよるが、イスラエルは結果的に、一人勝ちするかもしれない。
ファタハとハマースとの仲介を、エジプト政府がやっているようだが、ここまで来ると、ハマースは安易な妥協を、ファタハに対してするとは思えない。東エルサレムのパレスチナ人住宅の破壊や、ヨルダン川西岸地区での入植活動の、再活発化を前に、ハマースはパレスチナ人に対し「ハマースとファタハ、どちらの主張が正しいのか?」を問うことが出来よう。
イスラエルにとって、唯一の危険は、結果的に、ガザとヨルダン川西岸に居住するパレスチナ人が、一斉蜂起し、イスラエルに銃口を向けるようになることだ。そのリスクをどの程度、イスラエルは考えているのであろうか。最近のイスラエルの動きは、何処か不安があると思っていのは、私だけであろうか。