「サウジでシット・イン許可申請内務省が拒否」

2010年12月23日


 サウジアラビアの人権組織(ACPRA)が、首都のリヤド市で、シット・インを計画し、内務省に許可申請したが、拒否された。

 ACPRAは「王子の特権」「縁故」「法的公正」「刑務所での虐待禁止」「国家収入の歳出明確化」といったことを、改善アピールする目的だった。

 今回で、人権組織がシット・インを計画したのは、三度目だったが、内務省は許可しなかった、また、その理由についても、説明していない。しかし、絶対王政のサウジアラビでは、シット・インに限らず、集会を開くことが、禁止されているなかで、内務省が許可を出さない、という対応だけに留まったことは、注目に値しよう。

 本来であれば、こうした行動は早速主謀者(主催者)を逮捕し、尋問し、虐待し、投獄する、という手順で対応されよう。しかし、サウジアラビア政府の内務省は、彼らに面会を許可し、丁重に許可を拒否した、ということのようだ。

 サウジアラビア政府の内務省が、集会希望者に対し、丁重な扱いをするようになったのは、時代の趨勢であろうし、同時に、アメリカ政府の唱える、民主化路線に応えたものではないかと思われる。

 問題は、この申請をした人権団体は、スンニー派のサウジアラビア国民であったと思われるが、シーア派のサウジアラビア国民には、どうであろうか。多分に集会申請を受け入れるどころか、そのような動きがあると分かれば、直ちに逮捕し、投獄するのではなかろうか。

 アメリカ政府が、サウジアラビアの民主化を進めよう、と思うのであれば、先ずは、シーア派国民に対する、サウジアラビア政府の対応を、変えさせるべきではないのか。

 11月にアメリカのシカゴで開催された会議でも、サウジアラビア出身のシーア派の教授に会う機会があった。彼は既にアメリカの永住権を取得し、大学の教授職におさまっていたが、いまだにサウジアラビア政府の、シーア派国民に対する不平等な扱いや、暴力的な対応に、不満を抱いていた。

 そのような実態は、結果的にサウジアラビアのシーア派国民と、イランとの関係を、強化させることにつながり、将来的には、サウジアラビアの内政を、混乱へと導いて行くのではないか。

 サウジアラビア政府の姿勢が、柔軟になった今、もう一歩、民主化に向けて、前進すべきではないのか。サウジアラビアの人権組織が、スンニー派国民だけではなく、シーア派国民とも連携して、活動を展開するようになれば、より理想的なのではないか。あるいは現在の段階では、少し高望みかもしれないが。