どうやら、イラン国内では、昨年の大統領選挙の後のもめごとが、しこりになって、いまだに残っているようだ。昨年の大統領選挙というのは、述べるまでもなく、現役のアハマド・ネジャド大統領と、ムサヴィ氏が競った大統領選挙なのた。
選挙の結果が出た段階で、ムサヴィ支持派が選挙結果に対する、抗議の大デモを展開し、死者まで出て、一時期、イラン国内は騒然とした雰囲気に、包まれた。しかし、それも政府の強い対応の下で、抗議行動は沈静化し、最近では、大統領選挙後の後日談が、噂にも聞こえてこなくなっていた。
しかし、ここにきて、イランで最も強い影響力を持っている、ガーデアン議会の議長である、アヤトラ・アハマド・ジャンナーテイ師が、強硬な発言をしている。それはあたかも、大統領選挙の問題がいまでも、イラン社会を揺るがしている、と思えるほどの内容のものだった・
アヤトラ・アハマド・ジャンナーテイ師は、ハメネイ師の言葉は神聖であり、彼に反対する者は、アッラー(神)にそむくことと同じだ、と言ってのけたのだ。これはどう考えても、言い過ぎであろう。その言葉の持つ意味が、アヤトラ・アハマド・ジャンナーテイ師には、どの程度解っているのだろうか。
イランの南部都市シラーズで開催された、会議の席上で、彼はベラヤト・ファギ(神権統治)は正統なものであり、アッラーの意思によるものだ、とした上で「ハメネイ師を否定する者は、アッラーを否定することと同じだ。」と言ってのけたのだ。
ハメネイ師は今年の夏に、イランで最高の宗教都市である、クム市を訪問したが、クム市のイスラム学者たちからは、全く相手にされなかった。それは、ハメネイ師の学識が低いからなのだ。(二階級特進でやっとアヤトラになったという経緯がある)
今回、アヤトラ・アハマド・ジャンナーテイ師が、ことの他に力を入れて、ハメネイ師とアッラーの同一を、主張したことは、アッラーに対する冒涜とも受け止められる、愚かな発言であろう。
しかし、それを言わざるを得ないほどに、現在のイラン国内は、権力(真剣体制)に対する不満が、蔓延しているということであろう。もちろん、その不満は暴発する形ではなく、国内全域を包む、体制に対する不満と、権威に対する無視の形であろう。