「イスラエル・パレスチナ両原理主義者の意見一致」

2010年12月 6日


 イスラエルのユダヤ教原理主義者を主導する、ラビ(宗教指導者)オバデア・ユセフ師と、パレスチナのイスラム原理主義者、イスマイル・ハニヤ氏との間で、意見の一致が見られた。これは今後、イスラエル・パレスチナの和平交渉で、大きな進展がみられる、兆候かもしれない。

 これはもちろん冗談にすぎない。しかし、時を同じくして、イスラエルのユダヤ教のラビと、ガザのハマース・リーダーのイスマイル・ハニヤ氏が、イスラエルで起こった山火事について、「神の天罰だ」と発言している。

 ユダヤ教のラビであるオバデア・ユセフ師は、「シャバトを守らない罰だ。」と言い、イスラム教原理主義者のイスマイル・ハニヤ氏は、「ユダヤ人がしたことに対する神の罰だ。」と語っている。

 その理由とするところは二人とも別だが、これは神の罰だ、と捉えているところが共通している。

 こうした判断が双方から出て来るということは、現在のイスラエル・パレスチナの置かれている状況が、常軌を逸しているということであろう。イスラエル側のパレスチナに対する非人道的な対応は、イスラエル国内の連帯を強めるのではなく、イスラエル国民の間に分裂を生み出し、ますます混とんとした社会状況を、創り出している。

 パレスチナ側もイスラエルの力による、ガザに対する対応を巡って、四分五裂の状態に入っている。その分裂は単に、ハマース対ファタハではなく、ファタハ内部にも幾つもの、派閥を生み出すに至っている。

 結果的に、イスラエルの側にもパレスチナの側にも、それぞれの大衆を力強くリードできる人物は、存在しなくなっている。つまり、何度となく繰り返されるイスラエル・パレスチナ和平会議は、何も生み出せない状態に、なっているということだ。

 しかし、アメリカのオバマ大統領やクリントン国務長官は、イスラエル・パレスチナ問題での仲介調停努力をしていることを、世界に示す必要から、不毛な努力、時間の浪費を行っているのだ。

 そのつけは、大衆の怒りとなって、爆発という形で表面化してくるだろう。その時は、意外に近いのではないか。