日本のトルコへの原発売り込みに絡み、トルコの貿易大臣が訪日した。トルコ財界を代表するアハマド・チャリク氏は、貿易大臣と同行するはずだったが、カザフスタン首相が訪土したため、その対応のために、日本への到着が遅れた。
アハマド・チャリク氏は、12月24日の深夜に羽田に着き、翌日は原発のある新潟県の、柏崎市を訪問している。柏崎市から東京に戻ったその夜、彼が会いたいというので、お台場にある日光ホテルに出向いた。
イタリア料理を食べながら、日本側の原発輸出に関する話をし、日本側は全面的に、トルコに対し協力する意向だと伝えた。マスコミなどが、日本の原発輸出が、成功していないことを批判しているので、相当好条件で取り引きが、成立するだろうと語った。
加えて、原発は寿命が長いことと、トルコが地震国であることから、定期的な安全のためのチェックと、メンテナンスが大事だという話もした。彼はこちら側の話を、いちいち納得した表情で聞いていた。
イタリア・レストランが11時半を回って閉店となると、コーヒー・ショップで話し合おうと言い出し、ロビー・フロアに降りて行ったのだが、残念なことに、コーヒー・ショップは既に閉店していた。
そこで、彼はロビーの椅子に座り、話を続けようと言い出した。話題は世界政治情勢、世界金融情勢、トルコや日本の政治情勢など、広範にわたった。産業の発展の要点などについても話題は広がり、情報と知識の出し合い、という感じになった。
彼はトルコの現政府は、オザル大統領の時代と同じように実力があり、今後もトルコを、発展させていくだろうと語り、現在、トルコ政府はトルコ・リラ(通貨)を、もう少し安く維持し、貿易を拡大していく、方針だと語っていた。
アハマド・チャリク氏と同行した、同社の幹部のエンデル氏(トルコのクルド人)は、トルコをハブ国家として、日本は活用するほうがいいだろう、と語っていた。そのハブ国家とは人材を含めての意味だ。
アハマド・チャリク氏も日本の企業は、トルコの若い技術労働者を、必要に応じて使う形の活用を、考えた方がいいと語っていた。実際に、スエーデンの会社は現在、そうしているという話だった。
このアハマド・チャリク氏は、現在トルコ国内はもとより、中央アジア諸国、湾岸諸国、北アフリカ諸国で、事業を展開している、実力派の財界人だ。彼のエネルギッシュな仕事ぶりには脱帽する。1月にまたイスタンブールで会おう、と語り合い、会話が終わった時は、既に真夜中の2時を回っていた。
アハマド・チャリク氏は12月26日早朝に起床し、成田から帰国した。トルコで彼を待っているのは。各国からの政府要人とビジネスマンの面会希望者たちだ。彼には盆も正月も無い。