「イランはアメリカをなめ切っているのか?」

2010年11月29日

 アメリカとイスラエルは、何とかイランの核兵器開発(?)を阻止しようと、これまで何度と無くイランに恫喝の言辞を、繰り返してきている。曰く「軍事オプションは、われわれのテーブルの上にある。(選択肢の中にある)」

しかし、現在に到って、まだアメリカはイランに対する、軍事行動を起こしていない。それどころか、アメリカ政府内部では、イラン対応で意見の相違が、目立ち始めている。ミューレン提督はアメリカ政府が長い間、軍事オプションを検討してきたし、今でもそうだ。」と強硬な意見を語っている。

他方、ゲイツ国防長官は軍事的な手段は、イランの核兵器開発を止める、有効な手段ではない、いまは外交に委ねるべきだ、と軍事オプションに消極的な、意見を述べている。オバマ大統領も同様に、軍事的な手段を用いることに、反対の立場を、表明している。

こうしたアメリカ内部の意見の対立や、オバマ大統領、ゲイツ国防長官の平和路線(弱腰対応)を見てか、イランの要人たちは、押しなべて強気の意見を、口にしている。

革命防衛隊の幹部ムハンマド・レザ・ナクデイ司令官は、イランのプレスTVが、日曜日に行なったインタビューのなかで「アメリカは30年もの間、わが国を軍事攻撃することを夢見てきたが、それがいまだに、出来ないでいる。もし、アメリカがイランに軍事攻撃を、加えるようなことになれば、手痛い思いをすることになろう。イランは大国であり、世界中にわれわれの手が伸びており、アメリカは敵に囲まれた状態になるのだ。アメリカがイランに対して、軍事攻撃するなどということは、ジョークに過ぎない。」と言ってのけた

ここまでイランになめられても、アメリカはイランを、軍事攻撃しないのだろうか。あるいは、イラン国内での破壊活動を、継続していって、内部崩壊が起こるように、工作し続けるのだろうか。(11月29日テヘランの市内で、イランの核科学者が出勤途上、テロリストの襲撃を受け、死亡している、アメリカ・イスラエルとの関連については、何も証拠は無いが)

アメリカにとって、イラン攻撃には幾つものハードルが、あることは確かだ。アメリカ経済の悪化に始まり、イラク、アフガニスタンという、二つの戦線が開かれたままであり、北朝鮮との間でも、一触即発の状態にある。したがって、イランに対する軍事攻撃を加えることは、三つの戦線を同時に開くことになるため、もし開いた場合、相当厳しいものになろう。

アメリカがイランに対する、軍事攻撃をやり難い理由には、国際世論もあろう。イランは核開発について、あくまでもエネルギー入手が目的の、平和利用だと説明している。それに対する、明確な反論の根拠は、アメリカには無い。低濃縮のウラニュームの保有量を、誤魔化しているとか、原子力開発の施設に対する査察を、十分にはさせないといったことからの、推測でしかないのだ。

加えて、イランを軍事攻撃した場合、湾岸諸国は大きなダメージを、受ける可能性が高いことも否定できない。イラン海軍によってペルシャ湾の出口の、ホルムズ海峡を封鎖される危険性があり、もしそうなれば、世界経済は破壊的なダメージを、受けることになろう。そのため、世界の国々は親米国であっても、なかなかイラン攻撃について、賛成してくれないのだ。

そうは言っても、アメリカはイランになめられっぱなしで、このまま過すのだろうか。イランが余り調子に乗り過ぎ、アメリカを甘く見て対応すると、とんでもないことに、なりかねないのではないか。何事も、程々が一番ではないのか。