イエメンのシーア派住民アルホウシ部族と、イエメン政府の対立が武力衝突に発展し、アルホウシ部族はイエメン軍と、しばらく戦闘を展開していた。
一部族がこれだけの武力抵抗、を繰り返してこられたのは、イエメンの国内の種々の事情によろう。イエメンは21世紀の現在に至っても、地方では中央政府よりも、部族の力が強い。
彼らはいまだに徴税(といっても住民から税金を取るほどの、余裕はないのだが)の権限を有し、中央政府の意向に関係なく、武器取引を大っぴらに行っている。そのため中央政府からは、分離独立して存在しているのだ。
この武器の取引が、イエメンにいろいろの問題を、生み出すようになってきた。単に個人が武器を買うのではなく、アルカーイダ(?)のような戦闘集団が武器を購入し、イエメンとその周辺で、テロ活動を展開するようになったからだ。
イエメンの中央政府には、それを禁止するだけの力が無い、ということであろう。あるいは、その部族を力で抑えるための費用と、その後の福祉予算が手配できないからなのであろう。結果的に、地方部族は自治権を有したような状況に、長い間置かれてきた。
その一部族であるアルホウシ部族が、イエメン軍と衝突することになったわけだが、何とかイエメン軍はこれを、抑えこむことに成功した。
しかし、その後も、サウジアラビア領内にアルホウシ部族が逃げ込んでいたが、そこから出てきては武力行動を繰り返すために、イエメンの内部問題であるはずの、部族のイエメン政府に対する反乱が、サウジアラビアも巻き込む形に、なり始めている。
国境で戦闘が繰り返されるなかで、サウジアラビアは自国への影響を懸念し始め、イエメンに対し、しかるべき対応をしなければ、ならなくなってきているのだ。場合によっては、サウジアラビアがイエメンとの国境地帯に、軍隊を派遣し、状況改善を図るかもしれない。
そうなると、偶発的にイエメン軍との武力衝突が起こる、危険性が生まれて来るということだ。そうした事態を起こさないために、イエメン側は政府寄りの部族を支援し、部族間の対立、武力衝突を、敢えて起こしている節がある。
イエメンがアメリカから、アルカーイダの拠点と見なされ始めている昨今、サウジアラビアもしかるべき対応を、アメリアに要求されているのかもしれない。アメリカはなぜイエメンをそうまでも、目の敵にし、新たな戦場に仕立て上げようとしているのか疑問だが、多分にイエメンとサウジアラビアの国境地帯に、膨大な地下資源が、眠っているからかもしれない。アメリカは何のメリットもないところでは、戦争をする気が無いのだから。