イラクの北部クルド地区の、エルビル市にあるバルザーニ氏の私邸で、11月11日、イラクの新政府を設立するための円卓会議が開かれた。会議開催の成果があったことは、その後の報道を見ていると分かる。
この会議が開催された結果、クルド人のタラバーニ氏が大統領職に留まり、シーア派のマリキー氏も、首相職に留まった。その意味では、大きな変化は無かった、ということになる。
しかし、それではスンニー派イラーキーヤのメンバーが、満足するわけが無い。そこでイラーキーヤの代表であるアッラーウイ氏に、新たな要職のポストを用意し、それに就任させることで妥協を図った。
その新しいポストとは、イラク国家戦略会議議長というものだが、その案を出したのは、アメリカだといわれている。このポストは考えようによっては、極めてデリケートなものであろう。イラクの全ての情報は、このポストに集まるからだ。
もちろん、この戦略会議にはマリキー首相やタラバーニ首相も、参画するため、20人のメンバーによって、構成されることになっている。
果たして、この新ポストを受け入れたアッラーウイ氏は、いま何を画策しようとしているのだろうか。彼がこのポストに何時までも、甘んじているとは思えない。何らかの次のステップを、考えているはずだ。
この国家戦略会議には、全ての情報が集まるということだろうが、同時に、調査、逮捕の権限も、次第に委譲されるのではないか、少なくとも、アッラーウイ氏は時間をかけて、それらを手中に収めよう、と考えているのではないか。そうなるとソフト・クーデターが、可能になるということではないか。
今回の新組閣で、イラーキーヤからは、いまのところ、以下の人士がそれぞれのポストに、就任することのようだ。これらのポストの合計の力は、どれほどであり、どのようにそれが、化学反応を起こしていくのか見ものだ。
国家戦略政策会議議長=イラーキーヤ・リスト党首イヤード・アッラーウィー
国会議長=ウサーマ・アル=ナジーフィ
副大統領=ターリク・アル=ハーシミー
副首相=ラーフィウ・アル=イーサーウィ
外務大臣=サーリフ・アル=ムトゥラク