「トルコがまた反イスラエル映画製作」

2010年11月21日


 トルコではいま、ポラット・アレムダル氏が主役を演じる、アクション映画「狼たちの谷-パレスチナ」が製作されている。トルコではテレビと並んで、映画が国民の娯楽の主役の時代が、続いているだけに、映画の伝えるメッセージが、国民に与え影響は少なくない。

 以前、トルコの映画界は、アメリカ軍のイラクでの、蛮行を取り上げた「狼たちの谷」を製作し大ヒットしたが、それに続く大ヒット作となりそうだ。今回の作品では、現実に起こった幾つかの出来事が、ベースになっているようだ。

 イスラエル兵によってさらわれるパレスチナの子供や、暴力を受けるパレスチナの老人の話、そしてトルコが送り出したガザへの支援船、フロテッラ号での出来事などが、盛り込まれているということだ。

 映画はイスラエルの国内でも、撮影されているのであろうか。主役のポラット・アレムダル氏が、イスラエルを訪問した折に、イスラエル兵から「何故イスラエルに来たのか?」と聞かれると「私が訪問しているのはイスラエルではない、パレスチナだ。」と応えたということだ。

 加えて、この主役ポラット・アレムダル氏は「ユダヤ人はここを約束の地だと言うが、ユダヤ人に約束されたのは、6フィートも地下の場所であり、今ある地上ではない。」とも語ったということだ。これだけの政治的な意見を、咄嗟に言える俳優は、日本にいるだろうか?

 トルコ政府がこの映画製作を、どう受け止めているかは、定かではないが、トルコ国民からは、大受けすること、間違い無しであろう。そのことは、イスラエルに対するトルコ国民の敵対感情が、強まっていく可能性がある、ということだ。

 さすがに、イスラエル側は敏感に、反応しているようだ。イスラエルのエリー・エルダド議員は「かつてイランはイスラエルの友好国だったが、次第に敵対国に変わっていった。いまのトルコの変化は、それに極似している。」とトルコとイスラエル関係の、将来への懸念を語っている。

 この映画の製作を踏まえて考えてみると、トルコだけではなく、世界中の国々で、民族主義的な傾向が強まってきている、ということだ。もちろん、日本も緩やかではあるが、その例外ではない。

 加えて、イスラエルの蛮行が、世界中の非難を浴びる時代に、入ってきているということだ。ヨーロッパ諸国でも、イスラルあるいはユダヤ嫌いが、広まっているが、それはロシアやアメリカでも同じことが言える。

 イスラエルやユダヤ人は、軌道を修正する必要が、出てきているのではないか。そうでなければ、新たなホロコーストが、世界規模で起こる危険性が、高まっていくのではないか。