11月10日から18日まで、海外出張でアメリカに行って来た。シカゴで開催されたギュレン・ムーブメントというタイトルの会議だった。
ギュレンとはトルコのタリーカ(宗教集団)のリーダーの名前だが、このグループの名前はヘズメト(サービス)だ。世界中で活動を展開しており、教育のレベルの向上に、大きな貢献をしている。
彼らが最初に実行したのは、トルコ国内に進学校を設立することだった。質のいい教育を提供するために、この学校の卒業生が一流大学に軒並み合格し、現在では卒業生が政府の要職に就いている。そのことが現在のトルコの躍進の、原動力になっているのだ。
トルコ国内での教育事業を展開し、次いで中央アジア諸国にも、職業学校から進学校、そして大学まで設立している。そのために、このヘズメトという組織は、中央アジア諸国と特別な関係を、構築することに成功しているのだ。
教育事業の成功が、トルコ企業の進出を下支えするという、システムになっているのだ。教育関係者がトルコ企業の進出で仲介役を果たし、なおかつ情報を提供しているのだ。
アメリカでも、既に100校を超える公立学校の運営を、委託されているし、彼ら自身が設立した学校(私立)も、5校を超えているということだった。それだけ内容のいい教育を、しているということだろう。
このため、アメリカでの会議となったのだが、キリスト教団体やユダヤ教団体も、強い関心を寄せており、協力の可能性を探っていた。また米英露オーストラリアなどの学者も、社会性、教育、歴史、宗教の社会への役割と、各方面からこのヘズメトの活動を、分析し発表していた。
日本でもヘズメトはインターナショナル・スクールを既に開校しているが、現在のところ順調なようだ。その最大の理由は、学校関係者が献身的にこれに、当たっているということであろう。
日本人には何故こうした公益事業が、うまくいかないのだろうかと考えてみたが、その原因は、官が全てを取り仕切るという、発想によるのではないか。民間が上げた利益を、税金で取り上げ、民間企業に自由な活動を、させないシステムになっているからではないか。
トルコのこのヘズメトの会員は、中小企業のオーナーが多い。彼らは喜んでこの事業に寄付金を送るのだが、その分は政府が免税にしているのだ。もう一つの原因は、人の成功をねたみ邪魔しようという、さもしい根性が日本には強すぎるのではないか。いいことを官も民も、褒めて励ます環境が必要であろう。