パキスタンの南西部を拠点とし、バルーチ族の結成したジュンドッラーという、反イランゲリラ組織が存在する。この組織については、日本人の間では、中東や西アジアに余程、興味を持った人でなければ、知らないだろう。
つまり、アフガニスタンの南西部を拠点とする、小さなゲリラ組織に過ぎないというのが、この組織に対する、一般的な評価なのだが、イランにしてみれば、そうでもない。このジュンドッラーによって、これまで実行されたテロ事件で、多数のイラン人が、犠牲になっているからだ。
ジュンドッラーはパキスタンから、イラン南東部に侵入し、テロを実行しては、パキスタンに逃げ帰るために、イラン側はこれまで、なかなかその対応が、出来ないでいたのだ。
イラン側はこのジュンドッラーには、アメリカが支援を送っている、とこれまで非難していた。イランにしてみれば、ジュンドッラーはアメリカの育てた反イラン、イランに対する破壊工作の組織だ、という認識に立っていた。
イラン側の説明によれば、アメリカのABCテレビが、2007年に報じたところによれば、アメリカのオフィシャルがジュンドッラーに対し、支援をし、アドバイスしている、と両者の関係を暴露しているということだが、それは間違いなく、放映されているだろう。
イランに対する軍事的な攻撃が、なかなか出来ないでいる中で、アメリカはイラン内部に対する、破壊工作を自身で行ったり、反イラン組織に対して、支援を送るということは、ありうる話であろう。
このジュンドッラーのアブドルマリク・リジ議長は、イランによって2010年2月に逮捕され、6月に処刑されているということだ。
今回、アメリカがジュンドッラー組織を、テロ集団に指定したということは、アブドルマリク・リジ議長の逮捕と、処刑に原因があるのではないか。つまり、アブドルマリク・リジ議長は逮捕された後、イラン側によって相当の情報を、暴露させられていたのではないか。
そうであるとすれば、今後のジュンドッラーの活動範囲は、相当狭められかつ弱められ、アメリカの期待するようなものではなくなる可能性が、高いのではないか。
イランにとっては、願っても無いことであろう。また、アブドルマリク・リジ議長がもたらしたであろう情報は、相当なものの可能性があるのではないか。そうであるとすれば、イランとアメリカとの間で、何らかの取引が行われたか、行われる可能性があるのではないか。