イスラエルがパレスチナ人に行ってきた数々の蛮行は、イギリスが犯罪だとして、厳しい対応を採っている。なかでも、ガザに対する2008年末から、2009年初頭にかけての攻撃は、1000人を超えるガザ住民を殺害し、多くの施設や個人の住宅、インフラを破壊した。
以来、イギリス政府はイスラエル政府の要人で、この犯行に直接的に関わった者を、イギリスに入国した際、逮捕して取り調べる方針を、明らかにしていた。あるイスラエルの要人は、イギリス訪問中に,逮捕される危険を察知し、密かにイギリスから、脱出してさえいる。
これでは、イスラエルの対イギリス外交は、成り立たないだろう。イスラエル政府の要人、つまり大臣や首相、元閣僚と首相経験者は、安心してイギリスを訪問し、2国間関係を討議することが、出来ないのだ。
結果として、イスラエルはイギリスとの対話を、中断せざるを得ない状況に陥っている。もちろん、イスラエルはイギリスに対し、戦争犯罪に関する法律を、変更するよう要求している。
イギリスが何故こうも、イスラエルに対して厳しい対応を、するようになったのだろうか。他のヨーロッパ諸国はどうなのであろうか。アメリカはいまのところ、そのような対応をする気配を、全く見せていない。
イギリス以外のヨーロッパ諸国でも、似通った法律が成立する、危険性はあろう。それが懸念されるのは、ヨーロッパ諸国で中東からの移住者、あるいはイスラム教徒の移住者が国籍を獲得し、国会議員になる者の数が、増加してきているからだ。
彼らがヨーロッパ各国の議会の中で、イギリスが採った措置と、類似した措置を、採るべきだという主張をする可能性は、高いのではないか。そのことに加え、ヨーロッパ諸国では経済不況の中で、反ユダヤの感情が、拡大してきていることがある。
最近では、ヨーロッパの中で、ヒトラーのホロコースト問題が、公然と語られ、それを擁護する動きさえ、出てきているのだ。
イギリスでは学会が、イスラエル人の学者を、会議からボイコットする動きがあったり、一部大学が、イスラエル人学者を受け入れない、という動きもあった。既にイスラエル(ユダヤ)に対する反発は、民間レベルで相当のところまで、拡大してきていたということだ。
イスラエルが最近、異常なまでに敏感に警戒心強めているのは、こうした背景があるからであろう。そのことは、時として過剰な反応を呼び、状況を悪化させる、危険性があるということだ。