「バハレー内政の影響が湾岸とアラブ諸国に拡大」

2010年11月 6日

 先般、バハレーンで選挙が行われた。結果は予測どおりの、スンニー派優位ということになった。実はバハレーンの人口で、シーア派占める割合は6パーセントとも、70パーセントとも言われているにも関わらずだ。

つまり、バハレーンの選挙は選挙前から、結果が分かるものであった、ということだ。選挙の前には、シーア派の主導的立場の人たちが逮捕され、投獄され、一部は拷問を受けていた、とも伝えられている。

バハレーンはスンニー派の首長が統治する国だが、この国にも政治機運の変化が、拡大していたということであろう。そのために、バハレーン政府は選挙前から、シーア派の動きを警戒し、押さえ込む策に出たということだ。

つまり、バハレーン政府はシーア派の動きを、相当深刻に捉えていた、ということであろう。こうした政府のシーア派に対する対応は、述べるまでも無く、世界の人権運動組織の、非難の的となってしまう。その結果、バハレーンの国内で起こっていることは、これまで以上に細部に渡って外部に流れ出し、非難の度を増していくということだ。

イランはシーア派の国であることから、バハレーンの動きに敏感に反応している。そのことは、バハレーンのシーア派を、イランが見放していない、場合によっては、救いの手を差し伸べる、という意思表示でもあろう。

イランは以前から、バハレーンを自国領土の一部だ、とも主張していた。その露骨な発言を抑えても、今では民主化、シーア派の自自由と権利、という世界に通じる錦の御旗を掲げて、バハレーン政府を非難しシーア派を支援することが、出来るようになったということであろう。

今回の選挙とその結果(選挙の意味があったのかどうかは別にして)、一応バハレーンは国内政治的な大きな山を、乗り越えたということであろうが、そうすんなりとは、行かないのではないか。

バハレーンのシーア派国民は、今後も体勢を揺さぶる行動を、展開していくであろうし、それに対し、政府側は益々、過敏な対応をしていくことになろう。それは結果的に、バハレーンの体制を、劣化していくことになろう・

その影響は、湾岸の小国に広がり、各国が不安定な状況に陥っていくのではないのか、ということが懸念される。クウエイトにもカタールにも、シーア派国民は大きな割合で存在している。

アラブ首長国連邦について述べれば、アラブ首長国連邦を構成する、幾つかの首長国の人口のほとんどを、シーア派が占めているところもあるのだ。それらの国々に、バハレーンのケースが影響を与えない、と考えるのには無理があろう。