「エジプト政府選挙に備え報道規制強化」

2010年10月15日

 エジプト政府は、近く実施される国会議員選挙に向けて、報道を規制する新たな方針を、打ち出したようだ。ただし、それが外国の報道機関にも当てはまるのか、それがどの程度厳しいものかは、まだ分からない。

 エジプトの場合、選挙を前に、一番影響力のある報道媒体は、テレビであろう。文盲率がいまだに高い国の場合は、活字媒体もさることながら、映像で伝える法が断然効果がある。

 選挙の投票では、候補者の名前を投票者が記入するのではなく、一定のシンボル・マークのところに、バツ印を入れて投票するのだ。つまり、ナツメヤシの木、ラクダ、ロバ、スイカなどの絵が、政党や候補者をさすのだ。これなら文盲の人でも、区別が付くということだ。

 そこで、今回の報道規制では民間のテレビ局が、一番厳しい規制を、受けることになりそうだ。ケーブル・テレビ、一般の電波によるテレビと、民間のテレビ局の数は多い。加えて、周辺諸国の民間テレビも多く、規制は決して容易では無かろう。

 今回の規制は、国会議員と地方議員選挙に、関連するもののようだが、来年の大統領選挙にも、影響するものであろう。したがって、政府与党はいまのうちから、厳しく監視することによって、反政府の党や人士に、勝手なことはさせない、という強い意思表示をする、ということであろう。

他方、これまではムバーラク大統領の子息である、ガマール氏のポスターがはがされ、オマル・スレイマ-ン情報長官のポスターも、途中で沙汰やみとなったが、ここにきて、ムバーラク大統領のポスターが、貼られ始めたようだ。

エジプトからは、ムバーラク大統領がドイツで手術を受けた後、順調に回復し、以前よりも極めて健康な状態になっている、という報道が目立つ。

そうはいっても、高齢であることから、何時何があっても不思議はない。ムバーラク大統領のポスターが、貼られだしたということは、なんとか、ムバーラク離れ、ガマール離れを、阻止しようということからではないのか。