イスラエルのリーベルマン外相の発言は、時として乱暴すぎるために、本人は個人的な意見だったと弁解し、イスラエル政府は、彼の発言は時として暴言となる、と苦言を呈して見せてきていた。
しかし、彼の発言を冷静に考えながら見ていると、それは暴言であるかもしれないが、イスラエル政府と国民の本音を、語っているのではないかと思われる。
ヨルダン川西岸地区への入植問題で、ネタニヤフ首相はいろいろと策を弄して、アメリカをなだめてきたが、結果的には、明確な立場を示さず、なし崩しになってきていた。
つまり、イスラエル政府がどのような言い訳をしようが、イスラエル人による入植活動は確実に進行し、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の土地は、強引に取り上げられてきているのだ。
最もひどいのは、東エルサレムのパレスチナ人居住者のケースであろう。彼らは自宅から追い出され、自宅は彼らの見ている前で破壊され、そこにイスラエル人のための住居が、新たに建てられているのだ。
最近になって、ネタニヤフ首相が主張し始めている「イスラエルはユダヤ人のための国家」という考えは、実は全てのパレスチナ・イスラエル人(イスラエル国籍を有するパレスチナ人)をイスラエル国内から、ヨルダン川西岸地区に追放する、という前提で語られているのではないのか。
それと交換に、一部(全部ではない)ヨルダン川西岸地区にある入植地から、ユダヤ・イスラエル人を撤退させる、ということではないのか。それが「土地と平和の交換」になる、ということであろう。
最近になって、リーベルマン外相は「パレスチナ人はイスラエル国土の中に、自治のアラブ地区を、造ろうとしているのであろう。」と語っている。彼の言わんとするところは、ヨルダン川西岸地区もイスラエルの領土であり、パレスチナ人はそのことを認め、何らかの自治権を得ることで、妥協させられるということであろう。
リーベルマン外相の考えに近い考え方をしている、イスラエルの閣僚は少なくない。ただ、彼らは本音を明確には、口にしないだけだ。やがて、パレスチナ人はイスラエル国内から追放され、ヨルダン川西岸地区に居住し、そのような状態が不満である者は、情け容赦なくそこからも追放される、ということであろう。
かつて、元首相だったシャロン氏が唱えていたように、ヨルダン川西岸地区はイスラエルの固有の領土であり(神がユダヤ人に約束したジュデア・サマリアの土地の範囲に、ヨルダン川西岸地区は含まれている)、現在のヨルダンが、パレスチナ人の土地なのだ、ということであろう。リーベルマン外相は実は、本音を語ってくれている、親切な人物なのかもしれない。アッバース議長はそのことを無視して、嘘でパレスチナ人を、ごまかしているだけだろう。