「カイロ人気新聞編集長が首」

2010年10月 6日


 エジプトの民間新聞、アッドストール紙の編集長である、イブラヒム・イッサ氏が、同紙の編集長職を首になった。イブラヒム・イッサ氏はこれまで、健筆をふるい、政府や社会宗教の、タブーを記事にしてきていた。

 このため、2008年にも2カ月の、投獄を判決されている。今回の場合は、彼が衛星テレビで、政府批判をしたことが、直接の原因のようだ。

 彼以外にも、カイロ・トデイ紙が、今週の月曜日に発禁になっている。カイロ・トデイ紙が発禁になったのは、同紙と関係のある、オルビトTVが回線料を払っていないことが理由だ、とエジプト政府の情報大臣である、アナス・エルフィッキ氏は説明している。

 今回のイブラヒム・イッサ氏の首については、必ずしも政府の意向が働いたものではない、ということをにおわせる、情報も流れている。その情報によれば、アッドストール紙のオーナーが、穏健派のワフド党の幹部に、就任することと関係があるというのだ。

 ワフド党が政府との関係を、改善する方向にあるため、あまり過激な記事が、アッドストール紙に掲載されるのはまずい、とオーナーであるエルサイド・バダウイ氏が、判断したのではないかということだ。

 巷には、イブラヒム・イッサ紙が編集長を首になったこと、でアッドストール紙の味がなくなる、イブラヒム・イッサ色がなくなる、と嘆く者もいる。つまり、エジプトでは読者の心をつかむ記事を書くことや、テレビで歯に衣着せぬ発言をすることは、危険にあふれているということかもしれない。

 エジプト国内で、こうした動きが出てきているのは、述べるまでもない、今年末に国会議員選挙が行われること、来年には大統領選挙が行われることと、関連していよう。

 しかし、誰の判断であるかは別にして、イブラヒム・イッサ氏のような人物の、口を封じることは、結局、政府に対する不満を、高めることにはならないか。