イランのアハマド・ネジャド大統領が、今月13日から14日にかけて、レバノンを訪問することになった。述べるまでもなく、アハマド・ネジャド大統領のレバノン訪問は、イランとレバノン両国の友好と、協力促進のため、ということであろう。
しかし、アハマド・ネジャド大統領がレバノン訪問で、心待ちにしているのは、両国関係の促進というよりも、イスラエルを挑発することにあるようだ。彼はレバノン訪問のなかで、南部レバノンを訪問する、予定になっている。
しかも、それはイスラエル軍によって攻撃を受け、大被害が生じた場所のようだ。例えば、カナ村だがここは1996年2006年に、イスラエル軍の猛烈な攻撃を受けたところだ。加えて、ベント・ジベイル、にも訪問が予定されているということだ。
つまり、アハマド・ネジャド大統領はレバノン訪問の折に、南部レバノンの戦跡を訪ね、今後二度と、イスラエルの攻撃を許さないし、そのために、イランはレバノンに対して、あらゆる支援を送る、というメッセージを発する、つもりなのであろう。
南部レバノンの地域住民は、彼の訪問に大喜びしているし、イランと特別な関係にあるヘズブラは、諸手を上げて、彼の訪問を歓迎している。
他方、スンニー派のレバノン国民のなかには、アハマド・ネジャド大取る要の書訪問に反対している人たちもいる。彼らは、アラビア語で書かれた横断幕を用意し、すでに訪問反対の行動に出ている。しかし、南部レバノンの住民とは言え、クリスチャンは彼の訪問を、歓迎していないようだ。
その理由は、イランの影響がより一層強化され、部分的であれ、レバノンがイランと同様の、神権体制になることを、嫌っているからだ。加えて、アハマド・ネジャド大統領が南部レバノンを訪問し、イスラエルを刺激するような演説をすれば、それがイスラエル軍による、攻撃の口実ときっかけになる、危険性があるからであろう。
アハマド・ネジャド大統領の性格からすれば、当然、イスラエルに挑発的な演説が行われるものと思われる。イスラエル側にしてみれば、それは格好のレバノン攻撃の、口実になるのではないか。
その攻撃の範囲は、南部レバノンに限定されず、首都ベイルートや北部の都市も含まれる、可能性が高かろう。レバノンのスンニー派国民が、アハマド・ネジャド大統領の訪問を歓迎しないのは、当然ということではないか。
イランの友好国であるシリアは、アハマド・ネジャド大統領の訪問を、どのような気持ちで見ているのであろうか。イスラエルによるレバノンへの攻撃は、シリアにまで拡大する危険性があるからだ。イスラエルはレバノン攻撃に加えシリアもまた攻撃することによって、イスラエル北部の軍事的脅威を、完全に無くそう、と考えるかもしれないからだ。
状況がどう推移するかは「予断を許さない」という表現がぴったりであろう。アハマド・ネジャド大統領のレバノン訪問は、極めて危険な動きであることを、警告しておきたい。
アハマド・ネジャド大統領が、レバノン南部を訪問することにより、イスラエルによるレバノン攻撃、シリアへの攻撃の拡大、そしてイラン攻撃にまで拡大する、危険性があるからだ。その結果はここで繰り返し、述べる必要はないだろう。日本にも大きな影響があるということだ。