ガザを拠点とする、パレスチナの第二政府とも言える、ハマースの幹部マハムード・ザハールが、重要な発言をした。
彼がガザのイスラム大学の講演で、語ったところによれば、故アラファト議長は、もし、彼のイスラエルとの交渉が失敗した場合には、武力闘争(特攻攻撃)をしろ、と指示していたというのだ。
この故アラファ議長の攻撃指示は、何時どのように出されたかについては、明かされていない。しかし、それが2000年のキャンプ・デービッド交渉の失敗の後ではないか、と思われている。
第二次インテファーダの際に、実行された特攻攻撃は、故アラファト議長の指示によるものだった、ということのようだ。しかし、攻撃の指示はあくまでも、アラファト議長の直接支配下にある、ファタハのアクサ旅団に対するものではなかったか、という説もある。
アラファト議長が最終的に暗殺されたのは、彼が再度和平交渉に乗り出したからだ、という説も、同時に、マハムード・ザハールは口にしている。
マハムード・ザハール氏は現在、ハマースは以前より武器の密輸が容易になり、相当量を蓄えており、戦闘可能な状態にある、とも語った。そして、武力闘争のみが、イスラエルとの交渉手段だ、とも力説した。
一体、このマハムード・ザハール氏の発言は、何を意味しているのであろうか。多分に、ファタハとハマースのなかにある、故アラファト議長への支持を取り付けることを、狙ったものであろう。
その上で、武力闘争を継続すべきだ、とファタハとハマースのメンバーに、伝えたのであろう。イスラエルとは力なしに交渉しても、らちが明かないのだという、現実を知らせるためであろう。
加えて、故アラファト議長が暗殺されたように、マハムード・アッバース議長が今後も、成果の期待できない、イスラエルとの交渉を続けるのであれば、暗殺されることもありうる、という警告を発したのではないか。
そして、暗殺はファタハのメンバーによっても、ハマースのメンバーによっても、行われうるということではないのか。ファタハもハマースも、内部で相当に不満が高まってきていることを、考慮した極めて政治的な、発言であろう。