パレスチナ自治政府は、アラブ諸国の援助の少なさに、怒り出している。パレスチナ自治政府に言わせれば、アラブ諸国を始めとする、諸外国からの援助は、パレスチナ自治政府の公務員15万人の、給与に充てられるということだ。ご丁寧にも、パレスチナ自治政府はその半数が、ガザの住んでいる人たちだ、という説明だ。
つまり、ヨルダン川西岸のパレスチナ人を、前面に出しても寄付は集まりにくい、ということだろうか。ガザの場合、イスラエルによる攻撃で、大きな被害を受けたことや、トルコのフロテッラ号事件などで、世界の耳目を集めているからであろう。
パレスチナ自治政府に対する援助は、今年3月にリビアで開かれた、アラブ首脳会議でも、援助が各国によって約束されたが、ほとんど実行されていないようだ。例外的なのは、サウジアラビアとアラブ首長国連邦だが、それ以外には、援助国の名前が挙げられていない。
こうした状況について、援助する側のアラブ諸国は、パレスチナ自治政府のやり方が、気に入らないのだと言っている。つまり、パレスチナ自治政府はアメリカ政府に頼み込んで、アラブ諸国に援助をするよう、圧力をかけてもらっているというのだ。
アラブ諸国にしてみれば、パレスチナ自治政府が頭を下げて、援助を要請してくるのであれば、援助も考えるが、アメリカを通じての圧力をかける方式には、相当腹が立っているのであろう。
例外的に、援助を実行したサウジアラビアとアラブ首長国連邦も、うるさいから金を出してやる程度の、受け止め方をしているのではないか。少なくとも、パレスチナ問題や、パレスチナ人に対する、連帯意識からの援助ではあるまい。
パレスチナ自治政府の発表によれば、5・3億ドルの援助のうち、22パーセントがアラブ諸国からのものであり、残りの78パーセントは、アメリカを始めとする、非アラブ諸国からの、援助だということだ。
それにしても、パレスチナ自治政府のたかり精神には、驚くばかりだ。パレスチナ闘争が始まって、何十年も過ぎたが、いまだに外国からの援助を、主たる財源にしているのだ。そのために、全く具体的な和平の話は進んでいない。アメリカの圧力にすがっている限り、パレスチナの大義は全く重要性を持たず、結果的に、ヨルダン川西岸地区は、イスラエルに接収され続けている。
エルサレムがイスラム教の第3の聖地だから、イスラム教徒全員がパレスチナ問題を支持し、支援すべきだという論理は、パレスチナ自治政府の幹部の、超贅沢な生活を見ている限り、アラブ・非アラブ・イスラム教徒の間にで、本音では起こってこないのではないか。パレスチナ自治政府は、たかり・ゆすりの組織に、なり下がって久しい。