「トルコの改憲国民投票」

2010年9月13日


 912日、トルコでは全土で憲法改正の、国民投票が実施された。12日の深夜の、アルジャズイーラ・テレビのニュースでは、改憲に77パーセントが賛成、23パーセントが反対ということのようだ。

問題はトルコ南東部の、クルド地域の投票がどうなるかだったが、事前に予想されていたように、投票率は低かったようだ。しかし、投票の中身は、ほとんどが賛成ということのようだ。それは当然であろう。投票所に向かったのは、ほとんどが改憲賛成派の、トルコ人だったからだ。

クルド人は投票を棄権した人が多かったようだが、その理由として、「憲法が改正されても、クルド人に関わる問題では、何事も変わらないだろう。」ということのようだ。

しかし、クルド人が反対票を投じたのではなく、棄権したということは、実質的には賛成はしないが、反対もしないということだ。したがって、クルド人が投票を棄権したということは、与党AKPの改憲案に反対しない、という意思表示だったのだ。

与党AKPの実施した改憲をめぐるの国民投票は、どうやら与党の思惑通りになりそうだ。そうなると、トルコ社会に大きな変化が、起こることが予想される。トルコ軍の影響力は、大幅に後退しようし、旧体制側の警察幹部も、厳しい立場に追い込まれそうだ。

加えて、司法関係者にも、影響が出てこよう。そして、エルゲネコンのメンバーに対する追求が、強まるであろうから、これまでアンタッチャブルの状態にあった、エルゲネコン・メンバーによる、犯罪が明らかになっていこう。

これまでテロ攻撃を継続してきていた、PKK(クルド労働党)はエルゲネコンや軍部との、秘密の協力関係が終わり、 軍事行動から平和的な交渉に、路線を変えていくものと思われる。(与党はPKKと軍幹部エルゲネコンとの間には、秘密の協力関係があったと考えている)

こうした大きな変化が起こることが、予想されるにもかかわらず、トルコ軍がクーデターを起こすことは、難しいのではないか。それは、クーデターにアメリカもヨーロッパも、賛成しないことが明らかだからだ。

最終的な開票の結果と、その後の数ヶ月の、国内動向を見なければ、断言できないが、トルコは今回の改憲に関する、国民投票の結果、民主化が進むのではないかと思われる。

 *9月13日のトルコのTODAYZAMANのネットは投票の最終結果賛成58反対42と伝えている。