サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が、携帯電話のブラック・ベリー機種を、禁止にすることを決めた。これは国内の情報が、外国に流れることを恐れての対応策であろうが。どれほどその効果があるか、まだ分からない。
サウジアラビアにしろUAEにしろ、国内で起こっていることが、外国に流れては困るケースが、少なからずある、ということであろうか。例えば、UAEでは以前、プリンスが使用人に対して、暴力をふるっている光景が、外国の報道機関に流れ、大問題となったケースがある。
サウジアラビアの場合は、公開で行われている斬首刑のシーンが、外国に流れた場合、視聴者に少なからぬショックを与え、「サウジアラビア政府は非民主的だ」「サウジアラビア政府の処刑の仕方は残忍だ」として、人権団体などから大非難を受ける、可能性が大であろう。
このことに加えて、外国から流されてくる、ポルノ関連の映像などが、国内で出回ることにも、問題があろう。ポルノではないが、秘密のパーテイのシーンが、イランやアラブ諸国から送られ、日本でも視聴が可能になっている。これらのことは、国辱ものであろう。
こうした社会的な問題に加え、各国の民主化運動、政治運動にかかわる情報が、外国に送りだされることのダメージが、いかに大きいかを、イランの大統領選挙と、その後の動きが教えてくれた。
携帯電話はブラック・ベリーに限らず、携帯できる情報機器であり、どこからでも、何でも外部に送り出すことができるのだ。以前にお伝えしたように、エジプトの大統領選挙がらみの報道でわかるように、その機能は外国へ情報を送り出すだけではなく、国内での反体制活動にも、有効に働いてくれるのだ。
文明の利器、通信の革命とも思われる携帯電話は、次第に国民や国内政治をコントロールする側を、困難に巻き込んでいるようだ。同時に、それは一般大衆のなかに、デモを広げることにも役立つ、ということであり、まさに両刃の剣のようなものであろう。