「イラン・ブシェール原発8月21日燃料棒挿入」

2010年8月14日

 

 ロシアが建設を受け持っていた、イランのブシェール原発に、燃料棒が入れられることが発表された。これでブシェール原発は稼動することになるが、そうなるともう、空爆を行うことは不可能になる。

 それは、稼動している原発に対して、もし空爆が行われた場合、大量の放射性物質が、ばら撒かれることになるからだ。その結果、近隣だけではなく、相当離れた地域の住民にも、放射能被害が発生することになろう。

 かつて、イスラエルがイラクのオシラク原発(タンムーズ原発)に対して、空爆作戦を行ったのは、燃料棒が挿入される、ぎりぎり前のタイミングだった。当然、結果的にこの空爆で放射性物質が、散乱することは無かった。

 シリアの核施設に対するイスラエルの空爆も、同じようなタイミングを、考慮した結果だったのではないか。

 さてそうなると、イランのブシェール原発の場合は、どうなるのであろうか。アメリカは早々と、IAEAによる監視の下に行われるのだから、問題ないとし、何の手出しもしない、という立場を既に明らかにしている。

 それはロシアの面子を、守るということでもあり、しかも、ロシアはこのブシェール原発から出る放射性物質を、確実に完全に全量を回収するということを、アメリカに伝えているのであろう。そうなれば、イランがブシェール原発で出来る、放射性物質を勝手に集めて、核兵器にするという危険性は、無いということであろう。

 さて、それでは今回のイランのブシェール原発の稼動スタートは、何の問題も生み出さないのであろうか。唯一残る懸念は、イスラエルがこのブシェール原発の稼動スタートに、どう反応するかだ。

 イスラエルは中東地域にあって、唯一の核兵器保有国である、という立場を守ることにより、周辺アラブ諸国に対し、絶対優位を確保しているのだ。そのことが、アラブにイスラエルに対する、軍事行動を起こさせない、防止効果もある。

 以前から言われていたことだが、今回のイランのブシェール原発の稼動は、核兵器生産につながる、性質のものであるだけに、イスラエルが何らかの行動を起こす可能性を、否定できまい。

ブシェール原発に燃料棒が挿入されるのは、8月21日であり、残された時間は、すぐそこまで迫っているということだ。今は、何事も起こらないことを、祈るのみだ。