クルドの政党にDTK(民主社会会議)という組織がある。この組織は正式な政府の認可を受けた組織であり、政治活動の自由も認められている。
このDTKがいま、大きなトルコの社会変革の、中心になろうとしている。それは、トルコ政府とPKK(クルド労働党)を仲介し、恒久和平を実現しようとしているのだ。それには幾つかの、難問が立ちはだかっているが、意外に前進し、実現する可能性があるかもしれない。
トルコの与党AKP(開発公正党)はいま、憲法の改正に全力を集中している。それは、トルコの将来に関わる、重大事なのだ。憲法が改正され、軍部がクーデターを起こせなくなり、軍の幹部が入れ替えられれば、与党は安心して政策を、遂行することが出来るのだ。
AKPが今やろうとしていることは、クルド問題の解決による、トルコ東部の資源開発を、進めることではないか。トルコの東部に隣接しているのは述べるまでもなく、イラン、イラクといった地下資源(石油、ガス)の豊富な国である。
そのことは、トルコの東部にも石油、ガス資源がある、と考えても不思議はないということだ。その資源を開発するには、クルドとの問題を、解決しなければならない。そうでなければ、資源開発現場を狙ったテロが、PKKによって展開されるからだ。
つまり、トルコの与党AKPが考えているシナリオは、PKKとの和解を実現することであり、それに先だって、トルコ軍部の反対を抑え込むために、憲法を改正するということであろう。
DTKは当然のことながら、トルコの与党AKPと、クルドのPKKとの個別の会議を開催し、双方の落とし所を、探っていくということであろう。その場合、PKKもDTKもPKKの議長である、現在マルマラ海の孤島イムラル島に、収監中であるアブドッラー・オジャラン氏の処遇、が第一議題となろう。
DTKもPKKも、アブドッラー・オジャラン氏の釈放を求めることは、当然であろうし、これまで、PKK関係者ということで逮捕投獄されていた、クルド人の釈放も、同時に求めることになろう。
それに対し、与党AKTはどう対応するのであろうか。すでに、PKK側はラマダン停戦を発表し、9月20日まで戦闘行為を停止することを、知らしめている。その後については、トルコ軍側が挑発しなければ、停戦延長を考えているようだ。
トルコの憲法改正投票日は、9月12日であり、その結果が出るのは、9月20日前であろうから、停戦期限が切れる一歩手前には、AKP側からPKK やDTKの求める、妥協案が出てくるかもしれない。そうなれば、トルコの状況は一変しよう。そうあって欲しいものだ。